「今日何を着たらいいか分からない」「似合う服と着たい服が違う」…。一年3セットの服を着回す「制服化」を提唱する人気スタイリスト・あきやあさみさんの元には、このようなお悩みが毎日のように届くそう。そこで今回は、「なりたい自分」に近づける服の選び方を、自著『「一セットの服」で自分を好きになる』から、一部引用、再編集してお届けします。

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美術館に行くような気持ちでファッションを見てみよう

(1)枠を決めずに自由な想像をして選んだ一セット
(2)現実的な予算や用途から選んだ一セット

(1)と(2)のコーディネートをどちらも真剣に考えてみてください。

きっと、かなり違ったファッションスタイルが出来上がったのではないでしょうか?

もちろん(1)の服装は、実際に購入して生活するのは現実的ではないかもしれません。しかし一度大きく視野を広げてみると、これから服を選ぶときの視点が変わってくるはずです。

まずは、想像を広げるためにファッションの世界を広く覗いてみましょう。

例えば、YouTubeでシャネルやディオール、プラダ、グッチなどのブランドのコレクション(パリコレなど)を見たり、ヴォーグやヴァンサンカン、シュプールなどの雑誌をじっくりと眺めたりしてみましょう。

そこには、装飾的で華やかで贅を尽くしたファッションの世界が広がっています。服を探すというよりは、美術館や博物館、テーマパークに行くような気持ちになってください。

そこで見られるものは、なかなか買えない価格帯のものばかりですし、日常的に着用できる服ではありません。しかし眺めているうちに「最高峰ってこんな感じなんだな」「もし何も縛りがなかったら、こんな服を着てみたいな」と、解放的で自由な発想ができるようになります。

直感で「なんだかいいな」と思った服や雑貨を「美術館に展示されている作品を見るように」じっくりと観察してみましょう。

「赤いワンピースにシルバーのアクセサリーの組み合わせがかっこいいな!」
「透き通った淡いブルーのワンピース、海の中にいるみたいできれいだな」
「この美しい布の重なり、どうやって作っているんだろう」

そんな風に「心が惹かれた部分」に注目し、静かに観察することで、自分の「好き」や「興味」を敏感に感じられるようになります。

身近すぎるものや、手の届く範囲のアイテムだけを見ていると、「今の自分に似合う・似合わない」「今の生活に必要・不必要」「今のタイミングで買う・買わない」といった視点でしか判断できないものです。

まずは手の届かないほど非現実的なファッションの世界や、映画や本の中など、現実とは離れたものを「これも経験のうち」と思って味わってみましょう。

想像の世界を見て、イメージをしっかりと膨らませてから選んだ服は、手頃な価格であっても、「この(自分が大好きな)世界観から切り取ったもの」というワクワク感が生まれます。「培った想像力」は確かな土台となり、あなたのリアルクローズを支えてくれます。