『あんぱん』モデルやなせたかし秘話。<お母さんはずるく生きたつもりだったの?>戦争から帰ってきた嵩が再婚相手に先立たれた母と再会。「許してね」と告げられて…
婦人公論.jp6/11(水)12:30

『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(著:梯久美子/文春文庫)
香水の匂いをさせた母
母は外出がちで、あまり家にいなかった。自活の道を見つけようと、琴、三味線、謡曲、茶の湯、生け花、洋裁、書道など、おびただしい数の習いごとをしていたのだ。嵩から見ても化粧が濃く、いつも香水の匂いをさせていた。
『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文春文庫)
きりりとした太い眉に、大きな目。快活で、目の前にいる人とすぐにうちとける性格だったが、しつけには厳しく、嵩は物差しでぶたれることもあった。
母の気の強さを嵩は受け継がなかったが、幼いなりに、母の望む子どもになろうとした。
あるとき、アデノイド(鼻腔の奥にあるリンパ組織)がはれて切除手術を受けることになった。医者がメスで患部をえぐると、大量の血が流れ出て、洗面器が真っ赤になった。それを見たとたん、横にいた母が「泣いちゃだめ!」と言い、嵩は懸命に泣くのをこらえた。医者は驚き、「こんな小さなお子さんが泣かなかったのははじめてです」と嵩をほめた。











