手元にあったはずの大事なお金。けれど、思いもかけない事態に見舞われるとあっという間になくなって、待っているのはつらい老後――(「読者体験手記」より)

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金融業で儲けまくる従弟

かつては実の弟のように可愛がった、2歳年下の従弟。彼が脳梗塞で倒れたのは5年前だ。以来、寝たきりになった。飲酒と怠惰な生活が原因だ。

バブルの頃。彼は飛ぶ鳥を落とす勢いで成り上がった。金融会社を経営し、座っているだけで大金が舞い込む日々。金庫では、大金が唸っていたという。いわゆる、街金だった。

彼の2人の子どもたちは、当時まだ中学生と小学生だった。家族との外食は、一流寿司店か高級焼肉店。ファミリー向けの安価な寿司店など、利用したことはないと豪語していた。

子どもたちはアワビやイクラばかり食べると言って、目を細めて笑う。あり余るお金をどんどん使いたい、と親族たちの前で語り、優越感に浸っているようだった。その妻も、持っているブランドバッグや宝石の自慢に余念がない。

家計簿とにらめっこする毎日を送る私には、羨ましくもあったが、彼のような生活がいつまでも続くとは思えなかった。他の親族たちも同じように思っていたようだ。法事でもない限り、あまり付き合いたい夫婦ではなかった。昔は可愛い従弟だったが、あり余るほどの経済力は、人を歪めてしまうものなのだろうか。