人と対面する機会が減り、顔の動きは鈍りがち──。マスク下で顔は一気に“老化”が進んでいるという。口まわり、目まわりのストレッチを習いにいざ! 前編は、歯科医・石井さとこさんに学ぶ「顔トレ」のコツを伝授してもらいます(取材・文=野原広子 撮影=本社写真部)

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マスク生活で老けた方が多い

「なんでここまで違うの?」

還暦を迎えたばかりという石井さとこ先生を前に、言葉を失った。私のほうが4歳上だし、もともとの顔のつくりが違うしと、大慌てで自分を慰めたけど、そういう問題じゃない。肌の張りとツヤと、目から発する力が違いすぎる。

ここは石井さとこさんが院長を務めるデンタルクリニック。編集部の依頼を受けて、顔のトレーニング(顔トレ)を習いに来たのだ。

石井さんは言う。

「日常的にマスクを外せなくなり、この1年で年齢を問わずお顔が老けた方は多いですね。原因の1つは口呼吸をすること。マスクの下で口もとを動かさず、口内は乾燥しがち。さらに、マスクをつけたり外したりが面倒で水分摂取もおろそかに。話すときも、マスクがズレるのを嫌って、表情筋を動かさない。その結果、口角は下がり、顔全体がたるみ、ほうれい線と口もとのシワが濃くなってしまうのです」

身に覚えがあるゆえにドキッとする。マスクの中はいま、無法地帯になったということか。

「マスク生活は美容の大敵。それだけではありません。命にもかかわってきます。いま在宅ワークで人と話さないことが多いでしょう。つまり舌を動かさない。すると舌筋が鈍り、舌が下がって誤飲しやすくなります。お餅をのどにつまらせてしまう高齢者がいますが、それは舌が下がったせいもあります。ところで今、舌はどこにありますか?」

慌てて自分の舌をさぐると、下の歯の中にちゃんと収まっている。

「それが落ちベロ状態。正常な舌の位置は上の前歯の裏側に舌先があります」

顔だけじゃなく、口の中まで老けているとは……。