認知症ケアの最前線で患者やその家族と日々向き合う介護職の人々。窓越しの面会やリモートは、認知症の方々には難しい場面も…。リスクとも闘ってきた女性3人が、現場の苦労を語り合いました(構成=古川美穂)

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●内田香さん(57歳・仮名・以下同)
千葉県内のショートステイ施設勤務。がんを患う父の介護をきっかけに介護業界に入り、今年で20年

●坂本麻理さん(58歳)
民間介護サービス会社勤務。都内の事業所で、ケアマネジャーとしておもに在宅介護のサポートを行っている。介護業界15年目

●藤井絵美さん(42歳)
埼玉県内の特別養護老人ホーム勤務。社会福祉法人が運営する大きな施設で、入所者約90人だとか。介護業界17年目

会えない間に症状が進んで

内田 私の働くショートステイ施設には軽度の認知症という利用者も多いのですが、コロナ下で久しぶりにお会いすると、症状が進んでいて。外出を控えて人と交流しなくなる影響がこれほど大きいのか、と驚いています。

坂本 わかります。私の担当する在宅介護の利用者で、軽い認知症の症状はあってもひとり暮らしを続けて、スポーツクラブにもせっせと通っている方がいたんです。ところが緊急事態宣言でクラブが閉鎖されたら、伺うたびに症状が進んでしまって。先日デイサービスのご利用も勧めると、「私はクラブに行っているから行きません」とおっしゃる。

内田 ご自身の中では、まだクラブに通っているつもりなんですね。

坂本 私が担当し始めたときは要介護1だったのですが、食欲もなくなり、衰弱して入院することに。結局、もうひとり暮らしは無理だということで特別養護老人ホーム(特養)に入所されました。ショックでしたね。

藤井 特養勤務の私はおふたりとは違って、症状が進んで入所された方を大勢見てきました。コロナが流行し始めてからは、ご家族との面会回数を制限せざるをえなくて。面会できたころにはご本人の症状が進んでしまい、「ようやく会えたのに、忘れられてしまって悲しい」とご家族から言われたときは、言葉が出てこなかったです。