東京・神田で、カメラを首から下げて歩く小川ゆきよさん。実は個展も開催しているアマチュア写真家です。聞けば、写真に目覚めたのは76歳のときだとか。以来、「東京の今」を独自の視点で撮り続け、96歳の現在も、日常の《一瞬》と出合うために街を歩きまわります(構成=福永妙子 撮影=藤澤靖子)

* * * * * * *

76歳、日光旅行でカメラの面白さと出会う

「ちょっとそのあたりまで」というときも含めて、ほぼ毎日カメラを持って外に出ます。自宅のある神田を中心に、東京駅、皇居周辺、日比谷、銀座など、家から近い場所、歩いて行ける場所がほとんどです。

愛用しているのは、ソニーのデジタルカメラ。近くも遠くも撮れて、扱いやすい。コンパクトで軽いから、私のような身長140センチのちっちゃなおばあちゃんでも、持ち歩いたり、構えてシャッターを押したりするのに負担になりません。このカメラを首から下げて、予備の電池を入れた小袋、貴重品を入れたショルダーバッグを携え、足元はずっしり重い山歩き用のシューズで出かけるのが定番です。

街並み、行き交う人々、通りすがりに見つけて気になった光景……そういったものを撮っています。「ちょっと」のつもりで出かけて、気がついたら何時間も経って日が傾いていた、といったことはしょっちゅうです。

写真の面白さを知ったのは、76歳のとき。栃木県の日光へ旅行することになり、せっかくだからと近所のカメラ屋さんで買った安いカメラを持っていったんですね。「ここからの景色、いいなあ」と夢中でシャッターを切るうち、どんどん楽しくなっちゃって。それがきっかけです。

私は子どもの頃から、絵を描くのが大好きでした。絵って、自分のイメージのまま上手に描けると嬉しいでしょう。今思えば、写真を撮るのもそれと似た感覚があったのかもしれません。