日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【栗】」です。

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楽器のカスタネットは昔、栗の木で作られていた

これはブナ科の植物で、雄花、雌花が同じ株に別々に咲く「雌雄同株(しゆうどうしゅ)」の樹木です。自分と同じ品種の花粉では受精しないため、果実をならせるには、違う品種の授粉樹が必要です。

この植物には、中国、アメリカ、ヨーロッパを原産地とするものがあるので、日本原産のものは、学名が「カスタニア クレナタ」で、「クレナタ」は、葉っぱの縁がギザギザののこぎりのような状態を意味します。英語では、「ジャパニーズ・チェス(ツ)ナッツ」とよばれます。

属名の「カスタニア」は、ギリシャ語のクリを意味する「カスターナ」が語源です。この植物のスペイン語名が「カスターニャ」であり、楽器のカスタネットは、昔、この木からつくられたので、その名前に由来するとされます。