製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入し健康被害が相次いだ問題で、福井県から最長116日間の業務停止命令を受けたあわら市の小林化工は4月10日、一部業務を対象とした60日間の停止期間が終了。だが業務改善に関し県は「まだ状況を確認できていない」としており、医薬品の製造、出荷を再開する見通しは立っていない。

 県は同社の製造や品質管理で多数の法令違反があったとして2月、医薬品医療機器法に基づき業務停止命令と、法令順守の体制構築を求める業務改善命令を出した。停止期間は第1種医薬品の製造販売業務と同社矢地工場の製造業務に過去最長の116日間(6月5日まで)、処方箋のいらない第2種医薬品製造販売業務と同社清間工場の製造業務は60日間。

 県は週明けの12日、停止期間中に使用できないよう作業室などの出入り口や機械に張った封かんシールを外す予定だが、県医薬食品・衛生課の佐々木富代課長は「改善を求めた項目について状況を確認できておらず、業務再開はできない」と指摘する。同社は総括製造販売責任者の後任をオリックス傘下企業から招く方針だが、経営陣の交代を含め県に報告はないという。

 佐々木課長は「法令違反は長年にわたっており、従業員の教育や承認外の工程が発覚した製品の変更手続きなどには時間が掛かる」と、60日間の停止期間が明けても再開は容易でないとみる。

 この問題では、承認外手順書や虚偽の製造記録など「二重帳簿」の作成や、国の承認内容と異なる工程での製造、品質試験の記録ねつ造などが明らかになっている。

 県の命令を受け、同社は3月に▽経営陣の刷新▽承認書と製造実態の齟齬(そご)解消▽全役職員に倫理・順法意識を徹底させる教育訓練―などを盛り込んだ業務改善計画を県に提出。同社によると、停止期間中も全社員が出社し教育訓練や製造・品質管理の改善に取り組んでいるという。担当者は「改善命令に対応した体制が整えば、製造を再開したい」としている。

 長期に及ぶ業務停止に、同社で市民約200人が働いている地元あわら市の幹部は、雇用への影響を懸念。「業績悪化が従業員の不安につながる。正常化に向けて取り組み、雇用を守ってもらいたい」と話していた。