家庭に眠ったままになりがちな子どもの絵画や版画、書道作品。これに作者自らが値を付け、国内外のコレクターや美術愛好家にネット上で買ってもらうプロジェクトがスタートした。東京や福井の歯科医師、美術品保管やアート事業を手がける寺田倉庫(本社東京)などがコラボした試み。子どもの自由な感性を“若きアーティストの作品”として発信し、未来の芸術家を発掘する。

 「WHITE CANVAS JAPAN 2021」と題した取り組み。東京の歯科医師、吉岡公成さん(55)が、親交のある寺田倉庫や同社ゆかりの文化団体「東方文化支援財団」の関係者と話をする中で具体化した。東南アジアで進められている同種のプロジェクトを参考にした。

 吉岡さんが代表を務める子育て支援などの団体「erupt」が実施主体となり、寺田倉庫や東方文化支援財団、仮想現実(VR)事業を手がける企業などスポンサー社からノウハウを得て運営する。吉岡さんの知人で歯科医師の宇野誠一郎さん(54)、姉の医師玉木優子さん(58)=ともに福井県福井市=も賛同。地方からも応募を呼び掛けようとスポンサーに名を連ねた。

 20歳未満の人の絵画や版画、写真、書などF6号(410×318センチ)以下の平面作品が対象。公式インスタグラムをフォローし、「#ホワイトキャンバス2021」のハッシュタグを付けて9月30日までに作品画像を投稿する。ただしコンクール入賞作は著作権が主催者に帰属する場合があり、確認が必要。

 締め切り後、eruptが氏名や作品名、価格などを作者から個別に聞き取り、作品を発送してもらう。作品は寺田倉庫に保管。年内を目標にネット上でバーチャル展覧会やオンラインギャラリー(購入サイト)を立ち上げる。

 作者が5千円〜3万円の間で価格を設定し、成約に至ると約60%が戻る。残りは運営手数料や、東南アジアの同種プロジェクトに寄付して現地の作家支援に充てられるという。

 美術教育を受けない自由な表現「アール・ブリュット」が関心を集める時代。玉木さんは「子どもの作品は感性豊かで人の心を動かす」と話す。それを国内外にネット発信し、アートとして金銭的価値を生みだす試み。宇野さんは「自分の作品の力を実感できると思う。世界に羽ばたく芸術家が生まれてほしい」と期待している。