福井県民に長く愛されている飲食店や菓子店の閉店を防ごうと、福井商工会議所が市民アンケートを基に、事業承継や経営改善を重点的に支援するプロジェクトを展開する。担当者は「後継者不在や資金繰りなどをどこにも相談できないまま閉店してしまった老舗もあるのではないか。経営者の悩みの掘り起こしにつなげたい」と話している。

 県内では近年、飲食店などの閉店が決まってから、惜しむ声が広がるケースが目立っている。福井商工会議所は、▽後継者がいない▽店舗が老朽化▽資金繰りが苦しい▽従業員が集まらない―など想定される経営課題を掘り起こし、早期に支援することで店舗存続につなげようと今回のプロジェクトを計画した。

 市民アンケートは、幅広い意見から客観的に支援先の候補を選び、プロジェクト利用を打診するきっかけをつくるためのアイデア。交流サイト(SNS)を活用し、6月初旬から「未来に残したい福井の老舗・名店」を約1カ月募り、約50店のリストアップを目指す。同会議所の担当者は「存続を望む市民の声を持って店舗訪問すれば、経営上の課題にもアプローチしやすい」と説明する。事業承継の相談も想定されるため、アンケート結果の公表は予定していない。

 経営課題の洗い出しは、同会議所と県事業承継・引継ぎ支援センターが一体で取り組む。店側が事業承継を望む場合、同センターが後継者探しや合併・買収(M&A)希望者とのマッチングなどに当たる。資金繰りや店舗改装といった課題には、同会議所の中小企業総合支援センターが伴走支援する。

 同会議所の担当者は「一定のファンがいる店なら、課題解決の道が残っている可能性は高い。プロジェクトが経営者側が存続を考えるきっかけになることを期待したい」と話している。