福井県内でツキノワグマの出没が急増している。6月11日、越前市文室町では民家のすぐ近くの竹やぶに幼獣1頭が出没。その様子を家人が動画で捉えた。

 家人によると同日午後2時15分ごろ、ガサゴソと音がして窓の外を見てみると、家の裏にある竹やぶをうろつくクマがいた。同市内では6月に入って味真野地区に出没が集中しており、地区内にある万葉の里味真野苑(余川町)は幼獣の目撃を受け臨時休業するなど影響が出ていた。「近所で連日目撃情報を聞いたり、市からの知らせが届いたりしていた。いつ出てもおかしくないと思っていた」と家人。警戒態勢の中での遭遇で、ケガはなかった。

 数年前にも大きなクマが出たことがあり「驚きはそれほどなかった」。家族内では「クマに気をつけて」と言い合い、出合い頭の対面を避けるため、夜遅くに車庫から玄関まで歩く時は大きな声で独り言を言ったり、スマートフォンのライトを付けたりして、近くに人間がいることを知らせていたという。

 福井県のまとめによると、4、5月の出没件数は計143件で昨年同期の2倍超に上り、2004年の統計開始以降最多となった。越前市内でもクマの出没が相次いでいることを受け、市は今後、クマの出没を想定した机上訓練と実地訓練を福井県と合同で開催する予定。