全国の酒蔵がプライドをかけて出品した「全国新酒鑑評会」の結果が発表された。福島県は1位奪還とはならなかったが、2023年よりも4つ多い18銘柄が金賞を受賞した。

<日本一奪還へ 緊張の瞬間>
5月22日午前10時、みんなが注目するのは全国新酒鑑評会で金賞を獲得した数。兵庫に1銘柄及ばす2位…2年ぶりの日本一奪還とはならなかった。
新聞の号外が配られたJR福島駅前では「惜しかったね、期待していたんだけど。酒飲む飲まないかに関わらず、福島県の名誉だから毎年興味は持っていた」「2位でもね金賞が多くて、これをきっかけに福島に来てくれる人が多くなれば良い」という声が聞かれた。
さっそく金賞受賞酒が店頭に並んだ福島市にある県観光物産館では「ちょっと残念。来年はぜひ1位を、応援しています」と話す人も。2025年は3年ぶりのリベンジをかける。

<酒どころ会津で受賞を祝うイベント>
磐梯町の磐梯山温泉ホテルでは、宿泊者を対象に日本酒のイベントが行われている。目玉は「升タワー」で、全国新酒鑑評会で金賞を受賞した福島の銘柄の数に合わせ、18段積まれている。
このホテルには福島県外からの宿泊も多く、話を聞くと県内に遊びに来たきっかけは日本酒だったという人もいた。酒蔵のプライドが詰まった日本酒は、福島の重要な観光資源でもある。
このイベントは来年も続けられる予定ということで、県内にますます多くの方が訪れることを期待したい。

<発表見守った酒造組合>
惜しくも日本一奪還ならずという結果だが、1位との差は本当に“僅か”だった。
「全国新酒鑑評会」の結果は兵庫県の19銘柄に次ぎ、福島県は惜しくも2位で18銘柄だった。しかし、成績が優秀と認められた入賞酒は31銘柄。これは、日本一だ。
「日本酒の神」と呼ばれる福島県日本酒アドバイザーの鈴木賢二さんは、今回の結果をこう振り返った。
「昨年は想定したよりも、どうも味がちょっと薄いなという気がしたのですが、今年は想定通りの味わいができたのかなと思っておりまして、それで全体が良かったなと思っていまして、結構自信はあったんですけども結果が伴わなくて残念でした」

<新たな手法で金賞受賞>
しかし、県内には新たな方法を確立させ金賞を獲得した酒蔵もある。
それが南会津町の花泉酒造の「ロ万」。花泉酒造によると、福島県のオリジナル酒造好適米「福乃香」を使って、金賞を初めて受賞した。その酒の作り方が珍しく、普通は行わない手法を使った。それが「もち米」を加える方法。うま味や上品な味に仕上がるそうで、今回出品した酒で唯一使われた方法だった。
福島県日本酒アドバイザーの鈴木さんは「現在、新しい酒米を研究中で今後、発表する予定。4〜5年後にはオール福島米で入賞を目指したい」と話していた。

<金賞受賞蔵の表彰式>
受賞数では惜しくも日本一とはならなかったが、福島の酒が誇るべきものに変わりはない。福島市のまちなか広場では受賞を祝うセレモニーが開かれた。
金賞を受賞した酒蔵を称え表彰式が行われ、福島県の内堀知事は「これからも全国の皆さんに、福島の酒が素晴らしいと思われるようにしたい」とこれからの福島の日本酒に期待を込めた。
金賞を受賞した名倉山酒蔵は「今年は、大吟醸から純米大吟醸に変えたことが功を奏した。来年も喜んでもらえる酒を造りたい」と話した。

今年は「挑戦元年」そして来年は「奪還元年」へ。福島の酒の作り手たちが一丸となって日本一奪還に向けた新たなスタートが始まっている。