今シーズン美技を連発している今宮、不可欠な存在だからこそ…

 2年連続のリーグ優勝、5年連続の日本一を目指し、現在パ・リーグの首位に立っているソフトバンク。今季ここまでチームに不可欠な存在として、原動力となっている1人が遊撃の今宮健太内野手だろう。たびたび見せる人並外れた好プレーで幾度となく、投手を、そしてチームを救ってきている。

 ここ数年は度重なる故障によって、1年間を通してプレーできたことがなかった今宮。その影響は今もまだ続いている。チームは今季ここまで23試合を消化しているが、今宮の出場数は20試合にとどまる。スタメンで出たのは18試合だ。1週間で1試合ないし2試合はスタメンから外れている。

 この欠場は蓄積疲労やコンディション維持のために、状態を見て休みを与えている、と見られていた。だが、実際にはこれと同時に、長いシーズンを戦う上で工藤公康監督ら首脳陣、そしてトレーナー陣によって密かなプランが進められていたという。それが「休ませるためのオフ」ではなく「鍛えるためのオフ」だ。

 工藤公康監督はこう語る。「出さない理由としては疲労もあるし、筋肉の張りとかも考慮しているけど、トレーナーが言うには筋力が足りない、と言うのもある。今年はトレーナーについてもらってトレーニングもしていこう、と。そういう日も作ってやっています。出していない理由は筋力をつけて、足りないところを今増やして補填させているところなんです」。

フルシーズン戦い抜くための判断「怪我で離脱というのは絶対に避けたい」

 近年、故障を繰り返してきた今宮。故障箇所を治すリハビリなどを行ってきた一方で、十分な肉体強化のためのトレーニングを詰めていなかった。そのため筋力には物足りなさがあるというのだ。その状態で1年間、試合に出続け、プレーを続ければ、故障のリスクは限りなく大きくなる。試合後にトレーニングを積むことも可能だが、遊撃手はただでさえ負担が大きいポジション。精神的な疲労なども考えれば、それはなかなか難しい。

 そこで考えられたのが試合に出つつ、鍛えるための時間を確保するという手法だった。もちろん疲労を考慮している部分もあるが、その一方で、計画に沿ってスタメンからは外し、ベンチスタートの日はトレーナー付き添いの下で肉体を強化するために時間を費やすという方法がとられているのだという。

 工藤監督ら首脳陣の今宮に寄せる信頼は絶大だ。「今宮くんは絶対に必要な選手。怪我で離脱というのは絶対に避けたい。今年はとにかく1軍でプレーをし続ける、ということ」と指揮官が語るように、3年間成し遂げられなかった1軍でフルシーズン戦い抜くことをチーム全体として目指しているのだ。

「今宮という人間は内野の中心。リーダーシップを発揮してもらう選手になってもらわないといけない。そのためには我慢するところは我慢する。出続けると怪我の恐れもあるので、我慢してトレーニングというのをやっています」と工藤監督。今宮の超人的なプレーを毎試合見ることができないのはファンとしても残念だが、欠場の裏で、先を見据えた取り組みが行われている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)