グループリーグの2試合でスタメン唯一の無安打に終わった鈴木誠也

 東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」は、グループリーグA組を2戦2勝で1位通過し、準々決勝進出を決めた。打線は2試合とも同じオーダーで臨み、ドミニカ共和国とメキシコを連破。メキシコ戦では10安打7得点と打線も活発だったものの、気がかりなのは4番の鈴木誠也外野手(広島)の状態。スタメン野手でただ1人、まだヒットが出ていない。

 7月31日のメキシコ戦での鈴木は、1回2死二塁の先制機に右飛。3回2死一、二塁ではセンター後方へ飛球を打ち上げたが、二塁走者の坂本をタッチアップで三塁へ進めるにとどまった。9回の最終打席で放った打球も、バックスクリーンへ向かって高々と舞い上がったものの、フェンス際で失速し中堅手のグラブに収まった。この日は4打数無安打1四球。2戦を通じて8打数ノーヒットとなっている。

 気になる主砲の状態だが、2009年のWBCで日本代表チーフスコアラーを務めて世界一に貢献した野球評論家の三井康浩氏は「スイング自体は悪くない。打ち急ぎ、本来の間(ま)を取れていないために、ミート率を下げているように見えます。外国人投手の速いテンポが合わないのか、立ち遅れるシーンが目立ちます」と指摘。タイミングは紙一重で「1本出て精神的に余裕が生まれれば、どんどん続く気がします」とも語った。

 三井氏が携わった2009年WBCでも、チームの大黒柱と期待されながら、当初打撃不振に悩んだ選手がいた。当時マリナーズに在籍していたイチロー氏(現マリナーズ会長付き特別インストラクター)である。第1、第2ラウンドを通じて7試合で打率.212(33打数7安打)と不振だった。しかし、肝心要の決勝・韓国戦で延長10回に決勝タイムリー。イチロー氏自身が残したセリフ通り「おいしい所だけ頂く」結果になった。

 鈴木は一昨年のWBSCプレミア12では全8試合で4番を務め、.444の高打率をマークしMVPに輝いた実績がある。今大会直前の強化合宿中には「短期決戦で最初にヒットが出ないと不安になりますが、気にせず1打席1打席切り替えることが大事。どうしよう、どうしようと悩み始めるとドツボにはまるので」と語っていた。豊富な経験を持ち、稲葉篤紀監督から全幅の信頼を得ている主砲に迷いはないはず。決勝トーナメントでは遠慮なく「おいしい所」を持っていってほしい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)