北京五輪の生き残り、メジャー歴もあるキム・ヒョンスが好調

■日本 ー 韓国(4日・準決勝・横浜)

 東京五輪の野球競技は4日、準決勝で日本と韓国が激突する。前回野球が行われた2008年の北京大会で金メダルを獲得している韓国は、地元開催で金メダルが至上命題になっている日本代表「侍ジャパン」にとってはどうしても倒さなくてはならない相手だ。その宿命のライバルにはどんな選手がいるのか。大会のここまでを振り返り、戦力を分析する。

 韓国は7月29日のグループリーグ初戦で延長10回の末イスラエルに6-5と辛勝、同31日にはアメリカに2-4と敗れる苦しいスタートを切った。ここで打線にメスを入れた。最初の2試合「4番・DH」で起用しながら6打数無安打に終わったカン・ベクホ内野手(KT)を2番に移すと、そこからの2試合で8打数5安打と波に乗った。「1番・中堅」が定位置のパク・ヘミン外野手(サムスン)は今大会14打数6安打、打率.429と好調を維持しており、この二人の出塁を防ぐことが失点の減少に繋がる。

 返すほうでは4番打者が定まらないものの、直近2試合は「5番・左翼」での起用が続くキム・ヒョンス外野手(LG)が絶好調だ。今大会は.444という高打率を残し、2本塁打5打点はいずれもチームトップタイ。1日のドミニカ戦ではサヨナラ打を放っており勝負強さも折り紙付きだ。2015年からの2年間は大リーグのオリオールズとフィリーズでプレー、2008年北京大会の生き残りでもあり、当時は予選リーグの日本戦で代打決勝適時打を放っている。

 開幕当初の2番から3番に移り、右翼を守るイ・ジョンフ(ネクセン)にも注目だ。かつて中日でプレーしたイ・ジョンボム氏を父に持ち、生まれたのは名古屋の病院と日本との縁は深い。プレーでもプロ入り1年目からレギュラーを奪い、昨季までの通算打率は.336という安打製造機。昨季15本塁打するなど長打力も備えるようになっており、今大会.235という成績以上に怖い存在と言えるだろう。

大きく若返った投手陣、鉄壁リリーフの柱は元阪神オ・スンファン

 投手陣は、過去の国際大会で主力となってきたヤン・ヒョンジョン(現レンジャース傘下)や左腕キム・グァンヒョン(カージナルス)が参加できなかったことで大きく若返った。この大会、先発が5回を投げたケースは1日、ドミニカ戦で5回3失点だった高卒新人左腕イ・ウィリ(キア)しかおらず、早めの継投策を取ってきている。

 リリーフ陣に絶大な信頼を置いているから取れる戦略だ。今大会の4試合、リリーフ陣は合計17イニングを投げわずか3失点という安定ぶり。150キロ近い剛球が武器のチョ・サンウ(ネクセン)は3試合、4回1/3を投げまだ被安打1だけ。チーム最年長の39歳、元阪神のオ・スンファン(呉昇桓、サムスン)は2試合3イニングで被安打1だ。

 オ・スンファンはイスラエルとの初戦で9回に同点弾を喫したが、その後は1本も安打を許していない。開幕前から「横浜は狭いグラウンドに注意」とし、周囲にも日本時代の経験を交えたアドバイスを送っているようで、若い投手陣の精神的支柱としての役割も果たしている。

 日本代表で、北京五輪を経験しているのは稲葉篤紀監督と田中将大投手の二人。一方の韓国では前出のキム・ヒョンス外野手、オ・スンファン投手に加えカン・ミンホ捕手(サムスン)、さらにキム・ギョンムン監督は当時も指揮を執っていた。準決勝で日本との激闘を制し、キューバを下しての金メダルまで上り詰めた当時の経験は、今回のチームにも脈々と受け継がれていると言えるだろう。

 2008年の北京五輪後、韓国では低迷していたプロ野球人気が一気に回復。金メダル効果はことのほか大きかった。そして現在の若手選手たちは“北京キッズ”とも呼ばれ、金メダルに刺激され野球を始めたり、のめり込んでいった世代。大きなうねりをもう一度という期待が球界にはあふれている。今大会の戦いは決して順調ではないが、決して侮ることはできない。(Full-Count編集部)