CS進出消滅直前で驚異的な粘り腰

■広島 11ー7 ヤクルト(21日・神宮)

 強いカープが戻ってきた。セ・リーグ4位の広島は21日、敵地・神宮球場で優勝目前の首位ヤクルトを相手に11-7の大逆転勝ち。最近12試合は10勝2敗の快進撃だ。今季最大で「17」まで膨らんでいた借金を「7」に。CS進出へは厳しい戦いが続いているが、ヤクルトVS阪神の優勝争いの鍵を握る存在に浮上してきた。

 この日は3-6とリードされて迎えた7回、7安打1四球に相手のエラーも絡み、打者11人で一挙7得点の猛攻。豪快に試合をひっくり返した。

 3位の巨人が今月5日から10連敗を喫したこともあり、最大で15ゲームもあった巨人との差が、3ゲームに急接近。広島は残り5試合に全勝しても、巨人が残り2試合で1勝でもすれば、CS進出の可能性は消える。それでも、この土俵際での粘り強さは尋常ではない。

 広島の残り5試合の相手は、2試合が首位・ヤクルトで、2試合が2位・阪神(他にDeNAと1試合)。0.5ゲーム差のつばぜり合いが続く優勝争いの鍵を、広島が握る格好だ。

鈴木誠が打撃2冠の可能性、坂倉も首位打者争い

 現役時代にヤクルト、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「この日のように、相手のミスに付け込み一気に畳みかけるのは、もともと広島のお家芸。メンバーはだいぶ替わりましたが、リーグ3連覇(2016〜18年)の時の強さが戻ってきました」と見る。確かに、絶対的なチームリーダーだった新井貴浩氏が引退し、丸佳浩外野手はFAで巨人へ流出。ここ2年低迷していた広島だが、輝きを取り戻しつつあるようだ。

 21日現在、4番の鈴木誠也外野手は打率がリーグトップの.322で、38本塁打もトップにわずか1本差。坂倉将吾捕手も打率.313でリーグ3位に付けている。この2人が打線を牽引している。

 守ってはリリーフ陣が安定感を増し、7回をドラフト2位ルーキーの森浦大輔投手、8回を3年目の島内颯太郎投手、9回をドラフト1位の守護神・栗林良吏投手が締める形が定着しつつある。野口氏は「3連覇した頃の一岡(竜司)、今村(猛)、中崎(翔太)に匹敵する3人です」となぞらえる。

「投打に若手も伸びてきているので、来季の広島は非常に楽しみ。鈴木誠也が残留すれば、優勝争いに絡んでもおかしくない」と野口氏。

 鈴木誠は順調にいけば、来季中に国内FA権、2023年中に海外FA権を取得するが、今季終了後にポスティングシステムで海を渡る可能性も取りざたされている。言うまでもなく、その去就がチームに与える影響はとてつもなく大きい。様々な意味で、広島の今季残り試合から目が離せない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)