シーズン中の代打打率はジョーンズ.429、川端.366と驚異の成績を残す

「SMBC日本シリーズ2021」はヤクルトが3勝2敗でオリックスをリードし、27日から舞台をほっともっとフィールド神戸に移す。栄冠の行方に大きく関わりそうなのが、両チームの“代打の神様”だ。オリックスのアダム・ジョーンズ外野手はシーズン中、代打では驚異的な打率.429(37打席28打数12安打)、出塁率.568をマーク。一方、ヤクルトの川端慎吾内野手は、ジョーンズの2.4倍の89打席の代打機会でも打率.366(82打数30安打)、出塁率.416を誇った。

 今シリーズ第5戦(25日)では、ついにジョーンズのバットが快音を発した。5-5の同点で迎えた9回、先頭打者の代打として登場し、ヤクルトの守護神・マクガフから左翼席中段へ決勝ソロ。それまでは全4試合に代打で出場し無安打3三振1四球だったが、相手に王手をかけられていた試合で値千金の一発が飛び出した。

 36歳のベテランとなったが、メジャー通算1939安打、282本塁打の実績と今季年俸4億3600万円(金額は推定)は伊達ではない。「高めに浮いたストレートとはいえ、逃さずとらえた集中力はさすが。アダム・ジョーンズと言えば、日本でも野球選手なら知らない者はいないスターで、委縮してしまう投手も多い。メジャー経験で劣るマクガフ(メジャー通算登板6試合)はなおさらだったでしょう」。こう指摘するのは、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。

先頭なら一発のあるジョーンズ、得点圏なら川端

 一方の川端は、第1戦から第4戦まで、これといったチャンスが訪れず出番なし。第5戦では1点ビハインドの9回裏、1死一塁で代打に指名され、相手の守護神・平野の高めに浮いたフォークをとらえると、打球は右翼席へ向かって舞い上がった。日本一を決める逆転サヨナラ2ランかという当たりだったが、フェンス際で失速し右飛に終わった。

 こちらは、2015年に打率.336で首位打者を獲得した実力者。2017年に椎間板ヘルニアの手術を受けた影響などで、現状では守備に就くのは難しいが、一振り人生に活路を見出している。「ミートポイントが体に近く、長くボールを見ることができるので、選球眼がいい。バットコントロールも抜群で、ファウルで粘ることもできる。相手バッテリーから見ると非常に打ち取りにくい、嫌な打者です」と野口氏は“捕手目線”で解説する。巨人とのCSファイナルステージ第2戦では、川端が2死満塁で精密な制球力を誇る菅野から押し出し四球をもぎ取った場面が象徴的だった。

 野口氏は「今シリーズの第6、第7戦は指名打者制が採用されますが、今の川端なら、なまじ4打席立たせるより、ここぞのチャンスに代打で使いたい。それくらい勝負強い打者です」と付け加えた。

 ならば、ジョーンズと川端を比べると、相手バッテリーにとってはどちらの方が怖いのか。野口氏は「それは状況によって違いますよ。イニングの先頭なら、一発のあるジョーンズの方が不気味。得点圏に走者がいる場面なら、川端の方が嫌です」と答えた。右打者のジョーンズと左の川端。持ち味も異なる2人の一振りが、近年まれに見る激戦となっている日本シリーズに決着をつけるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)