「いつ野球選手は大きな怪我をしたりするか分からない」

 5日に契約更改交渉を行い、年俸6億円の5年契約を結んだソフトバンクの千賀滉大投手。契約途中でも千賀の希望によって契約を破棄できるオプトアウトの条項が付いており、かねて希望しているメジャーリーグ挑戦も可能な、異例の長期契約となった。

 ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を球団に要望してきた千賀。国内FA権取得を目前に控えた昨オフも球団からの複数年契約の打診を断り、単年契約を締結。このオフも来季の海外FA権取得を見越して単年契約を結ぶと見られており、千賀自身も「正直そういう(複数年契約を結ぶ)考えはなかった」と明かした。

 ところが、最終的に結んだのは、契約破棄条項の付いた5年という長期契約だった。千賀は「今年1年が大きくて、いつ野球選手は大きな怪我をしたり、どうなるか本当に分からない。試合が終わってみないと分からないと思わされたシーズンだった」と複数年契約を結ぶことになった経緯を明かした。

 千賀は今季、ふくらはぎのコンディション不良で出遅れ、今季初登板となった4月6日の日本ハム戦で左足首を捻り、関節靭帯損傷の怪我を負った。全治3か月とも言われ、負傷後すぐは松葉杖での生活を余儀なくされた。千賀自身もこのリハビリ期間を「松葉杖をつきながら、苦しい、悔しい思いをした」という。

メジャー挑戦の場合のみ契約を破棄できるオプトアウトの条項付き

 そこで芽生えた思いが、選手は常にリスクと隣り合わせであるということ。いつ大怪我をしてプレーできなくなるか、いつ球団から戦力外を言い渡されるか分からない。契約してくれる球団がなくなるかもしれない。そうしたリスクを軽減してくれる長期契約は大きなメリットだった。

 その上で夢であったメジャーリーグ挑戦も叶えることができる。来季中には海外FA権を取得する見込みで、メジャー挑戦の場合のみ契約を破棄できる。この日も「野球人として常にそういう思いを持ちながら、上を向きながら、しっかり日々を大切に取り組んでいけることが大切。それがホークスにいる中で力になっているのは間違いない」と思いは隠さない。早ければ、来オフにもメジャー挑戦の夢は叶う。

 ただ、国内でプレーする限り、向こう5年間は“ホークス一筋”。交渉にあたった三笠杉彦GMは「我々としては、ずっとホークスでプレーしてくれることが嬉しいことですが、彼にはメジャーでプレーしたいという夢、希望がある。意見交換した中で至った結論がこういう形になった」とし、仮に千賀がメジャー挑戦を希望した場合も「ずっとホークスでプレーすることを選んでもらいたいと思って話をするけど、選手の権利ですので快く送り出して頑張ってもらいたい」と認める方針だ。

「今年1年間、不甲斐なさがありましたし、チームの成績も納得できるものではなかったので、それが今回の大きな理由になりました。怪我をした中で、自分は改めてしっかりやらなくちゃ行けない投手だと思わせてもらったので、とにかく来年1年しっかりやりたいという思いでいます」。異例の大型契約を結んだ千賀。2022年はチームのリーグ優勝と日本一奪還のために力を注いでいく。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)