エンゼルスの“悲劇”に米記者「今は彼らが得意な神頼みだ」

 昨季まで大谷翔平投手が在籍したエンゼルスは、シーズン中盤を迎える前から“崖っぷち”となっている。14日(日本時間15日)の本拠地・カージナルス戦を終えた時点で、15勝28敗の借金13で、ア・リーグ西地区の最下位に沈んでいる。

“悲惨な状況”に、米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のサム・ブラム記者は「選手層が皆無のエンゼルスは、2度目のチャンスの温床になっている」と報じている。シーズン開幕から1か月が経つが「エンゼルスは何ら意味のある形で層の薄さに対処してこなかった」とバッサリ。「エンゼルスは、ここでなければメジャーにいないかもしれない選手たちの温床のようになっている。これは選手たちに2度目のチャンスを与えることで成り立っているチームだ」と厳しい声を上げている。

 ブラム記者によれば、コール・タッカー内野手は「(マリナーズ3Aを出る際に)コーチをやる気はあるか、と聞かれた」。9か月間で3チームに放出されたリリーフのアミール・ギャレット投手は「メジャーに戻れるか心配になったこともあった」と話しているという。昨年5月にレッズを放出され、所属先が決まらなかったハンター・ストリックランド投手は「もう自分は終わったと思って、今までやってこれたことに感謝していた」という。

 ケビン・ピラー外野手は、4月の打率.160でア・リーグ最下位だったホワイトソックスの40人枠を外れた。ウェーバーで、どのチームにも獲得されず自宅に戻ったところ、マイク・トラウト外野手が負傷者リスト入りした日にエンゼルスから電話が入った。

 ニコ・グッドラム内野手はレイズからDFA(事実上の戦力外)となり、直近3年間でのメジャー出場は24試合にとどまった。ウィリー・カルフーン外野手は、ここ2年間で3度のDFAとなっている。通算で6回DFAされているカーソン・フルマー投手はエンゼルスに入団するも「自分は終わりにかなり近かった」と口にしているように、エンゼルスは多くの“カムバックストーリー”に頼っている。

 ブラム記者は「彼らはたくさんの奇跡が欲しくてたまらない。そして、それはたまたま這い上がってきた選手が1人ということではない。自分を必要なチームがあったことに良い意味で驚いている選手だらけ。これは、この組織が自前の選手を育成する能力がないことの現れだ」と切り込んでいる。

 さらに「傘下補強の必要性は驚きではなかったはずだ。それでもエンゼルスは不意打ちをくらい、今は彼らが得意な神頼みだ」と続けた。トラウトが戦列を離れてから、4勝10敗と泥沼状態に。窮地を救うプレーヤーが出てくることを祈るしかない。(Full-Count編集部)