インドネシアのGamecom Teamが開発した学園不良格闘アクション『Troublemaker』。この続編にあたる作品『Troublemaker 2: Beyond Dream』のデモ版が、既にSteamで公開されています。

今回は前作の2年後、インドネシアの架空の都市ジャヤカルタを舞台にしたオープンワールド喧嘩アクションゲーム。この国の典型的な都市部の光景を精巧に再現し、その中を自由に散策できるようになっています。

というわけで、早速やってみましょう!

「学園バトル」から2年後のお話
『Troublemaker』の主人公は、高校生のブディでした。このブディは根は悪くない男の子なんですが、煽り耐性がほぼゼロに等しいのが玉に傷。売られた喧嘩をすぐに買ってしまうため、何度も警察の厄介になっていました。そのせいで女手一つで育ててくれたお母さんに心労をかけ、何度も怒られる羽目に。

お前なぁ、SMK(職業高校)のソフトウェアエンジニアリング学科に通ってる恵まれた身分なんだから、喧嘩なんかせずにちゃんと勉強しろよ!!

そんなブディは、2年後には何と総合格闘技の選手になっています。おおっ、高校での専攻とは全く関係ないけど、確かに彼に似合う職業だ!

実は実際のインドネシアでは、総合格闘技(MMA)は人気スポーツ。地元テレビ局One TVが若手格闘家発掘プロジェクトをやり、数々の強豪を輩出しています。この国で総合格闘技の礎を築いたマックス・メティーノ先生は、筆者の大恩人です。

最近では映画やドラマにも複数出演しているマックス先生、見た目は強面ですが実際はとても穏やかな人物です。得体の知れない外国人の筆者に、クレコット地区の道場でいろいろな技術を教えてくださいました。Terima kasih banyak Max-sensei!!

インドネシアでは都市部在住の豊かな層の若者が総合格闘技をやっていたりして、大会も頻繁に催されます。ショッピングモールの吹き抜けのスペースで打撃禁止のグラップリングの大会が行われることも。筆者もこうした大会に出るため、インドネシア各地をサーキットしていたことがあります。

インドネシア都市部の光景を再現
『Troublemaker 2』には、もう一人の主人公がいます。南ジャヤカルタでバンド活動をしているジョーダンです。今作はこのジョーダンとブディの視点がエピソード毎に切り替わるという仕組みですが、ジョーダンパートでは何と唐突に音ゲーが始まります。

ちょっ、ちょっと待ってくれ! 筆者は音ゲーが苦手なんだけどなぁ……。

かたやMMAの選手、かたやバンドのキーボード担当という全く別のポジションの主人公。しかし、今作でも不良同士の喧嘩がメインテーマになっていて、街中で容赦なくバトルが展開されます。ジョーダンは棒術使いだぞ!!

それにしても、今作は街中が舞台ということもあり、インドネシアの都市の光景が見事に再現されています。典型的な店構えのワルン(個人経営の売店)やカキリマ(屋台)がそこら中にあり、車道の交通量も頻繁です。気をつけなければ車とぶつかってしまいます(幸い、ダメージを負う仕様ではありません)。あちこちにバイクが駐車されているのも、インドネシアらしい!

ジョーダンが鶏肉を買いに行くために伝統的なパサールへ行く場面も、インドネシアの庶民生活をさりげなく描いています。ショッピングモールの地下にあるスーパーマーケットは、平たく言えば「高級食材店」です。庶民はそのようなところではなく、伝統的市場へ足を運びます。

インドネシアを牽引するのはZ世代
『Troublemaker 2』をプレイして感じるのは、「インドネシアの若さ」です。若者が躍動し、同時に国の実体経済を支えていることが自ずと描写されています。少子高齢化に悩む日本とは、雰囲気が全く異なります。

2億7,000万人の人口を抱えるインドネシアで最も多い世代が、1997年から2012年の間に生まれたZ世代。インドネシア総合研究所のコラムによると、総人口の27.94%がZ世代とのこと。わ、若いっ!!

国民が若いということは、極めて堅調な内需が存在するということでもあります。その中で、様々な文化やスポーツに人気が集まり、ますます国が明るくなるという現象が起こっています。

ただし、ゲームとしての『Troublemaker 2』はデモ版が配信された程度ということもあり、まだまだ未完成。筆者が確認した不具合は「メニュー画面からゲーム本編へ戻れない」「彼女とデートしてる最中のブディがやる気満々のファイティングポーズ」のふたつ。ブディ、お前彼女とデートしてる時くらい喧嘩を忘れろ!

しかし、今の段階でそうした不具合は微々たる綻びに過ぎません。インドネシア都市部を自由に散歩できる『Troublemaker 2』は、日本人もぜひプレイしてみるべき期待の作品です!