◇メジャー第5戦◇全米オープン 最終日(20日)◇トーリーパインズGCサウスC(カリフォルニア州)◇7652yd(パー71)

ツアー初優勝を飾った2017年「ファーマーズインシュランスオープン」では、残り2ホールでバーディ、イーグルを奪ってみせた。今年、同じトーリーパインズで、ジョン・ラーム(スペイン)は17番で8m、18番で大きくスライスする6mのパットを沈めて連続バーディとし、スペイン人として初めての「全米オープン」制覇を成し遂げた。

優勝会見で明かしたのはこんな話だ。2週間前の「メモリアルトーナメント」で、54ホールを終えて6打差首位を新型コロナウイルスの陽性結果で棒に振った直後、パドレイグ・ハリントン(アイルランド)から電話をもらった。

「彼は、54ホールを終えて5打差で首位にいたときに、スコアカードの署名忘れで失格(2000年欧州ツアー「ベンソン&ヘッジス インターナショナル」)になった話をしてくれた。彼はその経験から、どの勝利よりも多くのことを学んだと教えてくれた」

「翌朝にニック・ファルドがテキストメッセージを送ってきて、残り6ホールで6打差リードから失格(1994年アジアンツアー「アルフレッド・ダンヒルマスターズ」)になり、その経験から学んで、翌週に大きな試合で勝った話をしてくれた」

「だから…」とラームは言う。「僕は大きな挫折から、大きなブレークスルーが生まれることを信じているんだ」。ラームにとって、トーリーパインズは米ツアー初優勝を飾った地であり、現在は妻となったケリーさんにプロポーズをした思い出の場所でもある。今年の「全米オープン」が始まる前、なにか良いことが起きる予感がラームの中にあったという。

大会最終日は1番で3mにつけてバーディ発進。「1番でティショットをフェアウェイに打ち、2打目をピンそばにつけて、バーディパットも沈めた。なにか特別な空気を感じたよ。今日は“自分の日になる”と思ったから、出来る限りアグレッシブに攻めたんだ。すべてはうまくいくと信じてね」

会場にはラームの妻・ケリーさんと4月に生まれたばかりの息子のケパ君。それにラームの両親も顔を揃えていた。ラームにとっては、今日は自身が父となって迎える初めての父の日だった。「スペインでは父の日は別の日なのだけど、きょうはそのお祝いをするつもりだよ。このグリーン上にラーム家3代がいて、そのうちの一人はなにが起きているのか分かっていないけど、いつかこの映像をみて楽しんでくれることをうれしく思う」。おとぎ話のようだと自ら評したハッピーエンドだが、ラームには最初からこうなることが分かっていた。(カリフォルニア州ラ・ホヤ/今岡涼太)