2008年「全米オープン」が開催されたトーリーパインズGCは全長7643ydで、当時メジャー史上最長のコースだった。

フィル・ミケルソンが“ホームタウン”で行われたメジャーを攻略するために採用したプランは、ドライバーをバッグから抜くというものだった。夏場の硬いコンディションと、フェアウェイを囲む深いラフを考慮して決めたのである。

ミケルソンは当時、「転がってラフに入ってしまうから、パー4で300yd超えのショットは打ちたくないんだ」と述べている。「フェアウェイは硬くなると感じたから、パー4のホールでは3番ウッドで十分だった」と続けた。

ミケルソンは21年の今大会でも同じような戦略を取った。ティショットの半分は2番ウッドで打つつもりでいたのだ。しかし、近年、隠すことなくヘッドスピードの向上を追求しており、ドライバーもバッグに入れることにした。

「曲がったり細くなったりしているホールが多いね」と、ミケルソンは大会前の会見で話していた。「僕が2番ウッドと呼んでいるクラブは、僕にとって多くのホールでしかるべき飛距離にフィットしそうなんだ」

大会中は、ロフト角5度にセットされ、フジクラの「VENTUSブラック」シャフトの装着されたキャロウェイ「エピックスピード トリプルダイアモンド」ドライバーもバッグに収まることになった。これは、5月の「全米プロゴルフ選手権」で優勝した際に、ビッグドライブを連発したクラブである。最も印象的だったのは、同大会の69ホール目で非常に重要なバーディをお膳立てした366ydのティショットだった。

2008年大会でのミケルソンは、ドライバーの代わりに、ロフト角を13度から11.5度に調整し、43インチの三菱ケミカル「ディアマナホワイトボード」シャフトを装着したキャロウェイ「FTツアー」の3番ウッドをティショットで使用した。

しかしながら、初日、2日目とティショットに苦しんだ。過酷で長いカリフォルニアのコースにおいて、ミケルソンはその多くをラフに入れたばかりでなく、あまりに距離が出ていなかったのだった。

「自分がひどいスイングをしてラフに入れたときは、自分のゲームプランが打ちのめされた感じになった。ショットが飛んでない上に曲がったわけだから」と述べた。

最初の2日間を「71」、「75」でプレーしたミケルソンは、当初のプランを放棄し、週末は「FT-5ツアー」ドライバー(ロフト8.5度に調整)をバッグに戻した。通算4オーバーでは、そうせざるを得なかったのだ。彼がトーリーパインズで優勝争いをするには、バーディが必要だったのである。

その週、彼はメディアに対し、通算4オーバーとなったことで、スコアを縮めるためにショートアイアンでのプレーを増やす必要があり、ゆえにドライバーをバッグに戻さざるを得なかったと説明した。

「なぜドライバーをバッグに戻したかって?バーディを奪うのに、より短いアイアンで(グリーンを)狙う必要があったからだよ」

その望みは、第3ラウンドでパー5の13番をクアドラプルボギーの9とし、「76」をたたいたことで潰えた。最終日にはその週の自己最少ラウンドとなる3アンダー「68」をマークし、どうにか18位タイで大会を終えたのだった。

以降、レフティはメジャーを複数回制覇しており、メリオンで開催された2013年「全米オープン」では、再びドライバーなしの実験を試みている。ミケルソンはバッグに2本のドライバーを入れて2006年「マスターズ」を制し、2019年「メモリアルトーナメント」でまた実験を繰り返した。そのミュアフィールドで、2008年「全米オープン」をドライバーなしでスタートしたことについてこう振り返っている。

「あれは明らかに過ちだった。全くなんて“素晴らしい”アイディアだったんだ。僕は3番ウッドでプレーするというのに、3番ウッドでフェアウェイを外していたのだからね。あれは馬鹿げていた。あれは上手く行かなかったね」

2021年の今大会、ミケルソンは2008年とは異なるセットアップで異なる結果を出すことを望んだ(編注:最終成績は62位)。

(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)