家族で暮らしていると、さまざまな悩みごとや困りごとがあると思います。その中でも子育て世帯のお悩みとして挙げられるのが「子どものセキュリティ」ではないでしょうか。

 

文部科学省「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査(令和3年度実績)」によると、集団登下校(28.3%)や保護者・地域の人々による見守り(60.9%)といった人的リソースによる安全確保は行われているものの、ICTの導入による登下校管理(7.4%)などはまだまだ進んでいない状況です。共働きなどで家に大人が一人もいない状況だと、子どもがちゃんと帰宅したかどうかもわかりません。

カギを持たせるとなくしてしまうリスクがありますが、持たせないわけにもいきません。自宅にいる子どもと連絡を取りたいけど、固定電話がないので連絡が取れない。スマホを持たせるには早すぎるのでどうしよう……などなど、家庭によってさまざまなお悩みがあるのではないでしょうか。そこで今回は、子どもがいる家庭でのお悩みをスマートホーム機器で解決する方法を紹介していきましょう。

 

スマートディスプレイがあれば子どもとビデオ通話ができる

まだスマホを持たせていない子どもがいる家庭の場合、コミュニケーション手段としておすすめしたいのが「スマートディスプレイ」です。音声アシスタントを内蔵するスマートスピーカーにディスプレイを搭載したもので、天気予報やニュースなどの情報をディスプレイに表示したり、動画配信サービスや音楽配信サービスを再生したりできるだけでなく、カメラとディスプレイを使ってビデオ通話ができるのが特徴です。さまざまなスマートホーム機器を一覧して操作するコントロールパネル機能も備えているので、本格的にスマートホームを導入したいのであればぜひ導入をおすすめしたいです。

 

スマートホームでは米アマゾンの音声アシスタント「Amazon Alexa」を搭載する「Amazon Echo」シリーズ、米グーグルの音声アシスタント「Googleアシスタント」を搭載する「Google Nest」シリーズが2大巨頭です。特におすすめなのは、バラエティ豊富な機器をラインナップするアマゾンです。子育て世帯におすすめのスマートディスプレイは、10インチディスプレイを搭載する「Echo Show 10(第3世代)」(実売価格2万9980円/税込・以下同)です。

↑アマゾンのスマートディスプレイ「Echo Show 10(第3世代)」

 

人の声や人の顔を認識すると、その方向に向けて自動的にディスプレイが350°回転する機能を備えており、リビングルームなどに設置すればどの方向からでもビデオ通話ができるようになります。

↑ビデオ通話のイメージ

 

ビデオ通話はスマホ向けの「Amazon Alexa」アプリ(Android/iOS対応)のほか、スマートディスプレイ同士ですることも可能です。スマホの場合、家族それぞれのAmazon Alexaアプリでニックネームを設定できます。するとEcho Showに「アレクサ、ママに電話して」などと呼びかけるだけでスマホとのビデオ通話ができるようになります。

↑スマートディスプレイからスマホに着信があるとこのように表示されます

 

↑スマートディスプレイとビデオ通話を開始したところ

 

Echo Show 10はカメラを内蔵しているため、見守りカメラとして使うことも可能です。Echo Show 10の設定画面から「カメラ」を選び、「自宅のモニタリング」の設定をオンにすると、いつでもモニタリングできるようになります。カメラで見られたくない場合は物理的なカバーでカメラをオフにできるので、プライバシーの問題もクリアできます。

↑Echo Show 10の設定画面を開いたところ。「カメラ」を選びます

 

↑「自宅のモニタリング」にチェックを入れると見守りカメラとしても使えます

 

↑画面右上のスイッチをスライドすると、物理的なカバーがカメラをふさいでくれます

 

「定型アクション」を工夫すれば、子どもの帰宅のお知らせも可能

Amazon Alexaには、さまざまな操作を自動的に行えるようにする「定型アクション」が用意されています。例えば「アレクサ、ラジコでニッポン放送を再生して」を「アレクサ、ニッポン放送」だけで呼び出せるようにできます。

 

これを活用すると、例えば「アレクサ、ただいま」と呼びかけると「お帰りなさい。冷蔵庫におやつが入っていますよ」とアナウンスするのと同時に、スマホに「○×くんが帰宅しました」と通知する……といったことを自動化できます。アナウンスはスマホアプリでカスタマイズできるので、子どもの帰宅前に「今日は8時頃に帰るから、冷蔵庫の中のおかずを温めて先に食べててね」などと変更しておくことも可能です。

 

定型アクションはいろいろとカスタマイズできますので、家族のライフスタイルに合った使い方を工夫してみるといいでしょう。

↑Amazon Alexaアプリのホーム画面から「その他」を選び、「定型アクション」を開きます

 

↑定型アクションの編集画面。スマホに通知したり、メッセージを音声でしゃべらせたりできます

 

↑スマホに帰宅の通知が届きました

 

スマートロックを導入すれば“キーレス”で玄関の出入りも可能

子どもを一人で登下校させる際に、親が不安に感じることの一つが「カギ」ではないでしょうか。カギをなくしてしまう危険もありますし、そもそもカギを持たずに出てしまう場合もあります。

 

一戸建て、もしくはオートロックのない集合住宅であれば、「スマートロック」がそうした悩みに答えてくれます。

 

スマートロックというのは玄関ドアのサムターンに後付けする形で設置する、カギの自動施解錠装置のことです。多くの製品はBluetooth通信によってスマホアプリから施解錠ができるようになっており、Wi-Fiアダプターなどを使うことで遠隔操作も可能になります。

 

おすすめの製品は、SwitchBotのスマートロック「SwitchBot ロック Pro」(実売価格1万5980円)と、「SwitchBot 指紋認証パッド」(実売価格9980円)の組み合わせです。スマートロックはさまざまなメーカーから出ていますが、スマホアプリからでしか施解錠ができない製品も少なくありません。そうするとスマホを持っていない子どもには使えないので、何らかの別売オプションが充実している製品が必要になります。

↑SwitchBotの「SwitchBot ロック Pro」(左)と「SwitchBot 指紋認証パッド」(右)

 

SwitchBotの場合、SwitchBot 指紋認証パッドを使うことで「指紋」と「暗証番号」、別売の「NFCカードキー」での解錠ができるようになります。施錠もボタン1つで行えるので、子どもだけでなく家族全員が便利にキーレス生活を送れます。

 

さらに別売のスマートリモコン「SwitchBot ハブ2」(実売価格8980円)などを用意すれば、スマートロックを遠隔操作できるだけでなく、開閉履歴も確認できます。指紋認証パッドの履歴を確認すれば、誰のどの指を使って解錠されたのかが分かるため、誰が帰宅したのかも確認できます。「子どもがちゃんと帰宅しているかどうかが不安」という方は、こちらも併せて導入するといいでしょう。

↑SwitchBotのスマートリモコン「SwitchBot ハブ2」

 

8980円は決して安くないですが、前回紹介したように本機があれば部屋の温度や湿度、明るさを確認でき、室内にあるエアコンや照明、テレビなどの赤外線リモコンを学習して遠隔操作できるようになります。温度・湿度・照度センサーを搭載しない「SwitchBot ハブミニ」(実売価格5480円)ならさらに安く手に入るので、用途に合わせて選ぶといいでしょう。

 

ちなみに、CANDY HOUSEの「SESAME 5」と「SESAMEタッチ Pro」のセット(実売価格1万2880円)も、指紋と暗証番号による解錠ができます。ただし現在、別売の「Wi-Fiモジュール2」がしばらく売り切れ状態になっているため、遠隔での操作や履歴確認ができません。Wi-Fiモジュール2さえ購入できればコスパが良くておすすめなのですが、“見守り”も必要であればSwitchBotシリーズがおすすめです。

↑CANDY HOUSEの「SESAME 5」と「SESAMEタッチ Pro」のセット

 

ぜひ安心・安全なスマートライフを

子どもの通学には心配ごとがたくさんありますが、帰宅時や帰宅後のシーンであればスマートディスプレイとスマートロックを活用することである程度解決できると思います。どちらも導入すると生活の質が確実にアップしますので、興味のある方はぜひ検討してみてください。