スポーツ競技では、ホームチームのほうがアウェーチームよりも勝率が高くなる傾向があります。これは「ホームアドバンテージ」と呼ばれており、サポーターの声援が重要な役割を担っているとされていますが、無観客試合の場合はどうでしょうか? 最新の研究で意外な事実が明らかとなりました。

↑観客の代わりに“見えない力”がホームチームを後押し

 

無観客試合とホームアドバンテージの関係を調べるために、ドイツ体育大学ケルンの研究チームは、ヨーロッパ6か国の10リーグを研究対象として、2020年3月に宣言された新型コロナウイルスのパンデミックの前後に行われた4万試合以上を分析しました。その中の1000試合以上は無観客で行われています。

 

すべての試合でホームチームとアウェーチームのどちらが勝利したかを調べ、「ホームチームの勝利」「引き分け」「アウェーチームの勝利」の割合を100試合毎に計算しました。その結果、観客がいる場合は、ホームチームの勝利:引き分け:アウェーチームの勝利=45:27:28となりました。この数値はホームチームが100試合中に45回勝つことを意味しています。

 

では、無観客試合はどうでしょうか? 同じように割合を求めると、43:25:32という結果が出ました。つまり、無観客試合と観客ありの試合では大きな変化がなかったのです。例えばイングランドのプレミアリーグを見てみると、観客ありの試合では、この割合が46:25:30だったのに対して、無観客試合は47:22:32と、ほとんど同じです。

 

この傾向はプロリーグに限りません。ドイツのアマチュアリーグのひとつクライスリーガAの6000試合を同様に分析したところ、観客の有無に関わらず、ホームチームは勝つ傾向が強いという結果になりました。

 

観客がいる試合では、審判がファンの声援や存在感に心理的な影響を受けて、ホームチームにとって有利な判定をする傾向があることが指摘されています。無観客試合では、そのような影響が少なくなり、試合はよりフェアになると考えられますが、スタジアムにおける実際の“力学”はそれ以上に複雑な模様。観客の有無に関係なく、ホームチームが無観客試合でも勝つ傾向が高いという結果に、研究者自身も驚いたようです。

 

しかしその一方で、今回の研究には例外もありました。ドイツのブンデスリーガは観客の有無で結果が大きく異なったのです。観客ありの試合では、この割合が46:24:30である一方、無観客試合は33:23:45と、アウェーチームの勝利が多くなり、ホームとアウェーが逆転する結果となっています。さらなる研究が必要でしょう。

 

ホーム試合が有利になるのは、慣れた環境でプレーすることや縄張り意識が芽生えることなど、サポーターの存在以外にもさまざまな要因が関係していると考えられます。今回の研究結果は、そのような力が作用していることを示していると言えるでしょう。サッカーの無観客試合では選手同士の口論が減り、イエローカードやレッドカードの数が減ることがわかっていますが、ピッチ上で選手たちがより冷静になるとしても、地の利を得やすいのはホームチームのようです。

 

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