人気オンラインゲーム「フォートナイト」に、岐阜ゆかりの戦国武将織田信長の居館が登場−。岐阜市は、ゲーム内の仮想空間「メタバース」に戦国時代の岐阜城山麓部を再現し、25日に公開した。これまでの発掘や文献などの調査に基づき、居館や庭園などがある空間を構築。プレーヤーが自由に動いて散策やゲームを楽しみながら、信長のおもてなし空間を追体験できる。登録ユーザー数が5億人を超える世界最大級のメタバースプラットフォームで市の認知度を高め、岐阜城など市内への観光誘客につなげる。

 市によると、同ゲーム上に自治体がメタバース空間を公開することは珍しいという。対戦型のシューティングゲームとして知られるが、近年は観光PRや音楽のライブなど利用の幅が広がっている。天守のある山上部、天守から見た城下町も制作中で、来年4月ごろの公開を予定する。

 山麓部のメタバースは、2017年の事業「信長公450(よんごーまる)プロジェクト」で制作したCGを活用。滝が流れる庭園や金箔(きんぱく)瓦の館、濃姫の部屋などがあり、キャラクターが石垣を駆け上ったり、城下を眺めたりするなどしてリアルな体験ができる。

 体験モード3種類のうち、「フリーモード」は居館を散策し武将や宣教師などのキャラクターに近づくと解説が表示。「ミニゲームモード」は的当てなどが楽しめる。「ビルドモード」は石垣や地形だけの更地に自分好みの“岐阜城”を建てることができる。パソコンやスマートフォンでプレーでき、基本プレーは無料。

 このほか市は、岐阜公園で提供していた戦国時代の再現CGを見ることができる「岐阜城今昔VR」をウェブ上でも公開。また園内のQRコードをスマーフォンなどで読み取ると、発掘調査成果の解説を読むことができる。英語や韓国語、中国語にも対応している。

 柴橋正直市長は25日開いた定例会見で「信長公のおもてなしの世界をリアルに体感し、実際に訪れてみたいと関心を持ってほしい」と話した。ゲームとVRは市ホームページからアクセスできる。