2023年に岐阜県内で着工された住宅の戸数は前年比12・7%減の9550戸で、1万戸を割り込んだ。減少は2年連続。コロナ禍はリモートワークの普及で郊外の住宅需要が高まり、着工戸数は一時的に増加したが、建設資材の高騰や人件費の値上がりが需要を押し下げたとみられる。一方で、若者に人気のあるエリアを中心に戸数を伸ばしている自治体もある。

 上位は、人口の多い市が占める。1位の岐阜市は13・1%減の2686戸。2年連続の減少で、3年ぶりに3千戸を割り込んだ。持ち家が1004戸で最も多く、全体の37・4%を占めた。分譲住宅は14・8%増えた。

 2位の大垣市は11・5%減の915戸で、3年ぶりに千戸を割った。分譲住宅は増えたものの、貸家の33・6%減が響いた。3位の各務原市は7・6%増の873戸。持ち家や貸家が減る一方、分譲住宅が50・6%増となった。

 4位の可児市は、4・9%減の488戸。貸家は87・7%と大幅に増えた。5位の羽島市は、コロナ禍の21、22年に500戸台まで増えたが、23年は前年比34・2%減の385戸にとどまった。持ち家は9・8%減だったものの、貸家と分譲住宅がほぼ半減した。

 11位までは市がランクイン。全21市のうち、前年を上回ったのは各務原市など3市で、7位の中津川市は1・6%、16位の瑞浪市は11・7%それぞれ増えた。前年からの減少率が最も大きかったのは、17位の恵那市の52・0%。30位の下呂市も50・5%と大幅に減った。

 町村では、隣県の愛知県にアクセスしやすい羽島郡の岐南町と笠松町が12位と14位に入った。今年1月1日時点の公示地価で対前年平均変動率が県内トップの岐南町は、子育て世代を中心に人気の高いエリア。笠松町は名鉄2駅があり、交通の利便性に優れている。岐阜市近郊では、本巣郡北方町が18位だった。大垣市近郊では、19位に不破郡垂井町、21位に安八郡安八町、22位に同神戸町、23位に養老郡養老町が入った。

 人口1万人当たりの戸数を比較すると、1位は加茂郡富加町で、持ち家が全体の85・7%を占めた。2位は岐南町、3位は笠松町が入った。4位以降は、岐阜市、美濃加茂市、安八町、各務原市、瑞穂市と続いた。ワースト1位は加茂郡七宗町で、2位が同郡白川町、3位が不破郡関ケ原町だった。

 【新設住宅着工戸数】 1年間に全国で着工した住宅の数。「持ち家」は注文住宅、「貸家」はアパートなどの賃貸住宅、「給与住宅」は企業の社宅や公務員の官舎、「分譲住宅」は建て売り住宅やマンションを指す。国土交通省が発表した2023年の全国の住宅着工戸数は前年比4.6%減の81万9623戸で、3年ぶりに減少した。