製作中はクルーも泣いた、でもそうするしか無かった。映画『トイ・ストーリー4』プロデューサーにインタビュー

製作中はクルーも泣いた、でもそうするしか無かった。映画『トイ・ストーリー4』プロデューサーにインタビュー

Image: (C)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

作品とスタジオのことが大好きになれました!

歳をとったせいか、最近めっぽう涙もろいです。グッタリするほど泣いちゃうので、「泣ける」「感動」「想像を超える結末」といった謳い文句が踊る『トイ・ストーリー4』は、みるのが少し怖かったです。

それに、正直なところ、『3』で終わったはずなのに続編を作るなんて、しかもフォーキーという投げやりなキャラクターで勝負を仕掛けてくるなんて、ピクサーはどれだけネタに困っているのだろうと思ってもいました。

しかし試写会を終えた後、私の考えは180度変わりました。「全ての『トイ・ストーリー』はこのストーリーのためにー」というセリフは本物でした。いやー、ピクサーの中の人たちってば本当に凄い!

そんな感動と興奮も冷めやらぬ状態で、私は『トイ・ストーリー4』のプロデューサーであるマーク・ニールセンさんに単独インタビューする機会に恵まれました。自分で言うのもなんですが、超盛り上がった流れでいろいろ聞いてきましたよ。

以下、ネタバレ注意!!!

Image: (C)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

──本作は『3』の後にアンドリュー・スタントン(『トイ・ストーリー』シリーズの脚本を担当)が書いたアイディアが元になっているそうですが、マークさんは『4』の構想を聞いた時にどう感じましたか。

マーク・ニールセン(以下、マーク):その話を聞いた時、まず思ったのが『3』で終わりじゃなかったのか、ということでした。みんなと同じように、自分たちも『3』で完結だと思っていたんですよ。だから驚きましたね。そしてすぐに、「どんな物語に展開させるつもりなんだろう」とワクワクしました。

アンドリューが、ボーピープがウッディと再会する展開を口にしたとき、彼の中で『トイ・ストーリー』に終わりはなく、ウッディとアンディの話がひと段落しただけだったことに気づきました。

アンディは成長してウッディを手放し、ボニーが新たな持ち主になりました。しかし、ボニーはアンディほどウッディを大切にしてくれません。その環境の中でウッディはもっと成長できると、アンドリューは考えたようです。そして9年間も離れていたボーピープが再び姿をあらわすという展開を聞いた時、「その先をもっと聞かせてくれ」と思いましたね。

──では、『4』が終わりではないということですか?

マーク:僕らは、本作をウッディとバズの話の終わりにしました。だけど、僕は『2』を作った時に『2』が終わりだと思ったし、『3』を作った時は『3』が完結編だと思っていました。だから、僕自身は『4』が終わりだと自信をもって言えます。たとえ、それが見せかけの完結編だったとしても…。

僕らでさえこの先『トイ・ストーリー』シリーズがどうなるかはわからないんです。でも、『4』がウッディの冒険の完結編と言えますよ。

──では、ウッディ編としてコンプリートボックスを買うなら今ですね。

マーク:そうですね!

──マークさんは本作のプロデューサーですね。

マーク:僕は最初アソシエイト・プロデューサーとして関わりました。ジョッシュ・クーリーはアソシエイト・ディレクターでしたね。この映画の製作期間は5年ですが、だいたい2年半くらい経った時に、僕がジョナス・リヴェラと共同でプロデューサーとなり、ジョッシュがディレクターとなりました。

『トイ・ストーリー』はピクサーにとって重要な作品です。この作品があったからスタジオがここまできています。なので、僕らもクルーも本当に情熱を注いできました。リリースする価値があると心から感じられる内容でないといけないというプレッシャーがありました。なにせ、これまでのシリーズで作品の平均値を随分と上げてしまいましたからね。

──ウッディが犠牲となってギャビーギャビーを助け、迷子となる『4』のラストについてどう思いますか?

マーク:美学だと思います。ウッディはボニーを大切に思うがゆえに、自分を犠牲にしてフォーキーを助けます。この映画で、ウッディは子供のために何ができるのかを見せています。

それだけでなく、その行動はもう一歩先に進みます。ウッディはギャビーギャビーの悲願を叶えるために、自分の体を犠牲にします。ギャビーギャビーはウッディを脅していた役だったのに。ウッディはギャビーギャビーのシチュエーションに同情し、大きな決断を下します。

Image: (C)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

──もうちょっと突っ込んで聞いてもいいですか。あなたのIMDBによると『バグズライフ』でピクサーに入っていますよね。『バグズライフ』でモデリング・シェーディングコーディネーターを経験した後、『トイ・ストーリー2』でもコーディネーターをしています。

その流れからして、『トイ・ストーリー』に感銘を受けてピクサーを目指したように見えます。本シリーズにはかなりのこだわりがあると思うのですが、ラストについて個人的にどう思っていますか。

マーク:とても感傷的な気持ちでした。何度も涙を流しました。クルーもそうです。ラストのシーンを見るたびに涙を流しました。アニメーションを確認するところから始まって、音入れまで繰り返しチェックする中で、何度もウッディの展開を目撃していたわけですから。

ウッディは常に僕と共にありました。個人的に思い入れが強いキャラクターですし、本当に感情的になりました。しかし、これが僕だけではないんです。クルー全員にとっても同じでした。

クルーの中には、『トイ・ストーリー』が人生初の映画だった人もいるんです。彼らは『トイ・ストーリー』と共に成長し、シリーズの最後に立ち会ったわけです。辛かったですね…、本当に。

──わかりますよ。しかも、あなたたちがシリーズを「終わらせた」んですからね。

マーク:そうなんだよ。

──実は試写会で私の近くに座っていた女性がボロ泣きしていたんです。もう心配になるくらい泣いていて。おそらく、『トイ・ストーリー』を見て育った年齢だと思います。おそらく『トイ・ストーリー』は多くの人にとって単なる娯楽映画ではないんです。

ピクサーにとってもあなたたちにとっても本当に大切な作品なのに、なんでああいう終わらせ方にできたんですか。

マーク:ははは! 僕たちにとって重要だったのは、ウッディの中に大きな変化を起こさせることでした。大きな目的のために行動させる必要があったんです。今までは、持ち主のために必死になっていましたが、持ち主だけでなく多くの子どもたち、多くのオモチャのために頑張るという目標を持たせたかったんです。そのためなら自分を犠牲にできる、と。家族を捨てる選択は悲しいことですが、そうすることでより大きな目的を果たせるとウッディは考えたんです。この展開を聞いた時、本作の最後はこういった形で終わらなければいけないと思いました。この方法しかないと思ったんです。

──他の選択肢はなかったんですね。

マーク:なかったんだ。

──前作より技術的に進歩した点は? またそれによって可能になった描写などはありますか?

マーク:わかりやすいのは、アンティークショップだね。あれは技術的な限界を押し上げたよ。なにせ物が山ほどあったから。10,000個以上あったかな。モデル、シェーディング、埃、蜘蛛の巣、シャンデリアにはライトの反射があった。すべてを再現しようとしたらレンダーファームがクラッシュする寸前だった。今までのシリーズだったら、このシーンは再現できなかったね。

──そのアンティークショップには腹話術人形が登場しますが、あの人形が怖すぎるという意見はありましたか? 

マーク:あははは、ありましたよ! あの人形を見た人はみんな良いリアクションをしてくれたね。でも、誰一人として「排除したほうがいい」なんて言わなかったんだよ。多分、みんな不気味なものを好きなんだよね、きっと。

腹話術人形を映画に登場させたのは、実際にアンティークショップを回ってリサーチしたからなんです。アンティークショップにいくと、大抵、腹話術人形が売られていました。ギャビーギャビーのような赤ちゃん人形ももちろんたくさん見かけました。僕らはオモチャがアンティークショップでどんな人生を送ることになるのかを再現したかったんですよ。だから腹話術人形を入れました。

──1体でもよかったのに、4体もいましたね。

マーク:ははは、そうなんだよ。4体もいたね!

──あの腹話術人形は『チャイルド・プレイ』への反撃かと思いましたよ。『チャイルド・プレイ』が『トイ・ストーリー』を意識したマーケティングをしているのは知っていますよね? あれがチャッキーに対するピクサーなりの意思表示なのかと思いました。

マーク:あのポスターね! もちろん知ってる。かなり笑わせてもらったよ。いやいや、そういう意図じゃないよ。

──なるほど。あまりにもタイムリーだと思いました。思わず、ジェームズ・ワン監督のホラー映画『デッド・サイレンス』の人形を味方につけたのかと思ったほどです。では、『チャイルド・プレイ』側に苦情の電話を入れたとかはなかったわけですね。(*『デッド・サイレンス』は腹話術人形がテーマのホラー映画)

マーク:いやいや、ウケたよ。それに彼らがしたかったことの意味は理解できるしね。

Image: (C)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

──そういえば、映画化したい作品を見つけた場合、ピクサーではどう映画化を実現させますか。

マーク:ピクサーには、開発部(Development Department)というのがあるんだ。そこで未来の監督が選ばれる。監督は通常3本くらい映画化したいアイディアを持っていて、スタジオのクリエイティブ・エグゼクティブたちにアイディアを説明するんだ。

ストーリーを展開させていく上で、徐々に一本に絞り込まれていく。どこかしらの部分で、それが脚本になる。脚本がみんなに気に入られれば、ストーリーボードになるんだ。ストーリーボードに音楽をつけて編集して、スクリーンで見せて、作品としての価値を証明してみせる。そうやって進めているよ。

今、開発部ではたくさんのストーリーが動いているよ。確か最低でも7本はあったと思う。すべてピクサーのフィーチャーフィルムだよ。

──オリジナルですか? それとも続編? 

マーク:今のところ、ほとんどがオリジナルなはずだよ。続編に関しては不明だけど、現時点ではオリジナルが動いている。 2020年には『Onword』が公開を控えているし、それから程なくして『Soul』も公開されるよ。他にも素晴らしい作品が控えているんだ。 

──ピクサーについて聞いてもいいですか。ピクサーに長く勤めていると他ではできない珍しい経験をしますよね。ほら、チンパンジーがスタジオにやってきてスタッフと1日一緒に過ごすとか。あれ以上に印象的だったことはなんですか? (*『モンスターズ・インク』の特典映像が収録された日にチンパンジーがスタジオに遊びに来ていました。特典映像ではチンパンジーがウロウロするのを全く気に留めずに働くスタッフの姿が見れます)

マーク:チンパンジーがやってきた日のことはよーく覚えているよ! あれ以上のことといえば、出社したら会社の前でフルアーマーの2人組によるチャンバラごっこかな。呆れるように「ピクサーの日常だね」と言ったのを覚えているよ。おそらく映画『メリダと恐ろしの森』のリサーチだったんだろうな。

──そうなるとちょっとやそっとじゃ驚きませんね。そうそう、マークさんの経歴を見ると『バグズライフ』以来ずっとピクサーで働いていますよね。ピクサーはプロジェクト契約ではないのでしょうか。

マーク:ピクサーは普通のコンピューター会社と同じように社員制度なんだ。実写とは違ってプロジェクト契約じゃないから、作品が終わって解散というわけではなく、作品が終われば次のプロジェクトにアサインされるんだよ。

すごく幸せなことだと思っているよ。ピクサーに勤めて約23年になるんだけど、これから先の23年もピクサーに入られたらと思っているんだ。

──私は実写にいたことがあるのですが、毎年、ひどい時は数カ月ごとに次のプロジェクトを探すんですよ。だから、映像やっててひとつの会社に長年務めるって夢ですよ。

マーク:ピクサーはユニークだよね。実は僕はピクサーに来る前に実写とストップモーションアニメーション作品に関わったんだけど、やっぱりプロジェクト契約だったから、作品が終わったら次の作品を探さないといけなかったよ。ピクサーはコンピューター会社のような運営方法だからありがたいね。

Photo: ギズモード・ジャパン

今回のインタビューは20分だったのですが、まだまだ話し足りないくらいでした。「時間がきちゃったから、もう行かないと」と話を無理やり切り上げたもらったくらい。もう少し時間があれば、ピクサーの中のことを詳しく聞けたかも。

ちなみに映画に対する感想ですが、会う人みんなにオススメしたいくらいいろんなことがてんこ盛りで楽しかったです。ターゲットは主に『トイ・ストーリー』と共に成長してきた人で、ハンカチではなくハンドタオル必須。なにせ初っ端から泣かせられちゃいますから!

映画『トイ・ストーリー4』は7月12日(金曜日)公開です。

Source: トイ・ストーリー4


関連記事

おすすめ情報

Gizmodo Japanの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

トレンド アクセスランキング

ランキングの続きを見る

トレンド 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索