@retailrefugee / x
どんだけステルスなんだ…。
米サウスカロライナ上空で9月17日午後2時ごろ、世界一高額な戦闘機F-35BライトニングIIに不測の事態が発生。パイロットがパラシュートで緊急脱出後、戦闘機は自動操縦のゾンビ状態でどこかに飛んでいき、米軍が全国民に目撃情報を求める異例の事態となりました。
We’re working with @MCASBeaufortSC to locate an F-35 that was involved in a mishap this afternoon. The pilot ejected safely. If you have any information that may help our recovery teams locate the F-35, please call the Base Defense Operations Center at 843-963-3600.
— Joint Base Charleston (@TeamCharleston) September 17, 2023本日午後、不測の事態に巻き込まれたF-35の行方を現在、海兵隊と共同で捜索中です。パイロットは脱出して無事。F-35捜索の手掛かりになる情報をお持ちの方は、基地防衛作戦センター(843-963-3600)までお寄せください
チャールストン統合基地
翌日夕には「残骸らしきものが見つかった」とチャールストン統合基地より発表がありましたが、F-35は公称7000万ドル(約103億円)、実際はその倍の1億3580万ドル(約201億円)もする世界最新鋭の戦闘機です。
それが行方不明になること自体、にわかには信じられないことであり、米国民からは非難轟々です。
軍事大学シタデルを女性として初めて卒業した軍事通のNancy Mace共和党議員も
F-35ふつう失くすか? 追尾システムもないとか、見つけたら届けてって国民に呼びかけるとかマジであり得ない。
とポストしてましたけど、ほんとにその通りで、不思議なことだらけなんですよね…。
少し疑問点を整理してみましょう。
疑問1: なぜ緊急脱出したのか
まず一番謎なのが、緊急脱出した理由です。
海兵隊配備のF-35Bは、ほかのモデルと異なり、「自動脱出装置」が装備されています。そのため「低空飛行になって怖くなったパイロットが自分の意志で脱出ボタンを押した」というのとも違うんですね。
「自動脱出装置が発動してしまうような事態が起こった」と見るのが正解。いったい何が起こったのか?
これについては軍からは何の発表もありません。目撃情報募集にも「mishap」とあるだけです(なるべく大ごとにしたくない気持ちはわかりますが、英語でmishapというのは家の廊下でおならする程度」のことを指す言葉であり、「F-35が消えることをmishapとは呼ばない」と国民に怒られてます)。
疑問2: もう1機のパイロットは何をしてた?
失踪した日の演習にはもう1機、F-35が参加していましたが、そちらのパイロットはふつうに着陸したと基地の報道官は発表しています。なぜ追尾しなかったのか? それも大きなクエスチョン。
疑問3: なぜ通信が途絶えたのか
F-35Bにはトランスポンダー(応答装置)もついています。通常であればこれで追尾できるはずなのに、なぜか作動していなかったことがわかっています。
軍事コンサルタントによると、緊急脱出席のロケットモーターがあまりにも強力なので脱出のとき電子機器や配線をショートさせてしまった可能性もあるし、先頭を飛ぶもう1機のトランスポンダーに干渉しないようにスイッチを切っていた可能性もあるとのこと。
疑問4: なぜ無人のゾンビ状態で飛び続けたのか
パイロットは脱出する際、オートパイロットに切り替えた…と最初は発表されましたが、この点については後日基地から「不確かな情報なので部内で確認中」と訂正が入っています。
自動操縦にすること自体は珍しいことではないんですけどね…(それで無事に胴体着陸した前例もある)。
失踪した地点は同州ノースチャールストン上空だったため、捜索はチャールストンの北約50kmに広がるモルトリー湖と州内最大の湖マリオン湖を中心に行なわれました。
残骸らしきものが見つかったのも湖からほど近いウィリアムズバーグ郡。周辺の住宅街でも「無茶苦茶低空を逆さまになって飛んでいく」F-35の姿が目撃されていました。
死者・けが人が出なかったのが不幸中の幸いですね。
海兵隊航空部隊全員が2日間謹慎
海兵隊航空部隊では、ここ6週間で3回も「Aクラスのmishap」が起こっています(Aクラスは損害額2億5000万ドル[約3億7000万円]以上の不備。死者やケガ人も出ている)。
事態を重く受け止めたエリック・スミス海兵隊総司令官代理は海兵隊航空部隊の全員に「2日間の飛行停止」命じ、安全対策の徹底を呼び掛けています。
北朝鮮とロシアがうごめいてるときにF-35が消えちゃうなんて「WW3(第3次世界大戦)戦う前に負けてんな…」の声も聞かれた今回の一件。F-35を買っている日本も他人事じゃありません。
公式アカウントからはこんなカッコいい映像が発信されてますけど、真っ昼間に見失うようなことはもうナシに願いたいです。
Let’s start the week with a roar ⚡ pic.twitter.com/fpgWFD3fJQ
— F-35 Lightning II Joint Program Office (@theF35JPO) September 18, 2023頼むから消えないでくれ〜。
Sources: @JointBaseCharleston, NYT, NBC
AIが戦闘機を操縦する時代。単独で17時間の飛行に成功 AIパイロット同士の戦いも起こる…?アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は、人工知能エージェント(AI)アルゴリズムを開発し、F-16戦闘機が自律飛行できるようになったと発表しました。F-16戦闘機の制御シミュレーションを開発してからわずか3年弱です。 この飛行にはLockheed Martin(ロッキード・マーティン)のVISTA X-62Aが使用されたとのこと。Lockheed Mart https://www.gizmodo.jp/2023/03/ai-lockheed-martin-f-16-airfoce-darpa.html