David McNew (Getty Images) via Gizmodo US|2023年7月16日、北米で最も低い土地、デスバレー(海抜86m)で、最高気温記録が更新される見込みだった日。バッドウォーターの塩原を夜明けに歩く男性。

今年も、一生夏かと思った。

我々哺乳類は、その寿命の半分をすでに終えてしまっているのかもしれません。地球上に哺乳類が登場してから、約2億5000万年。そして、この世界が「哺乳類の住めない環境」になるまで、あと2億5000万年しか残されていないというのです。

超大陸「パンゲア・ウルティマ」の予想図

科学雑誌『Nature Geoscience』に最近掲載された研究によると、あと数億年後には地球にあらたな超大陸が形成されるんだそう。研究者チームは大陸移動に関するデータを活用し、あらたな未来地図を作成したのです。

さらに科学者たちは、将来「大気中でどんな化学的変動が起きるか」といった情報をもとに、超大陸「パンゲア・ウルティマ」の大気の状況や地質学的条件を、いくつもシミュレーションしました。

子どものころ、3億年以上前に形成された超大陸「パンゲア」について習いませんでしたか?「パンゲア・ウルティマ」は、いわばそのバージョン2.0になります。

今は散らばっているすべての大陸が再びひとつになったとき、そこには哺乳類が繁栄できなくなるほど過酷な環境が待ち受けているのです。

哺乳類が暮らせる地域が激減する見込み

この未来のシナリオでは、超大陸上で哺乳類が生息可能な地域はわずか約8%から16%。そのほとんどが、「パンゲア・ウルティマ」の北端と南端のごく一部に位置します。

ちなみに今回の研究によると、産業革命が起きて排ガスによる気温上昇が起きる以前、この惑星の陸地の約66%が哺乳類が暮らすのに適した場所でした。

ブリストル大学の上級研究員兼研究著者のアレクサンダー・ファーンズワース氏は、オンライン声明の中で以下のように説明しています。

新たに出現した超大陸は大陸による影響、太陽のさらなる灼熱化、大気中の二酸化炭素の増加という三重苦を引き起こし、地球のあらゆる場所が今よりもっと熱く暑くなるでしょう。

その結果、哺乳類にとって食料も水も得られない、過酷な環境が生まれるのです。

体温調節ができる哺乳類も生きられない過酷環境

現在の地球と、2億5,000万年後にすべての大陸が1つになった超大陸を地図にしたもの。 Image: University of Bristol via Gizmodo US

哺乳類がこの惑星で繁栄できたのは、温暖な環境にも寒冷な環境にも適応できたから。とはいえ、極度に暑い環境で長時間生きるようにはできていません。

特に人間は汗をかくことで体を冷やしていますが、あまりに暑すぎると、自然のメカニズムが働かなくなってしまいます。

しかし、もしも地殻変動によって火山噴火が活発化し、大気中により多くの二酸化炭素が噴出することになれば、地球上では今よりもっと熱がこもりやすくなってしまいます。

ブリストル大学で気候変動と健康に関する研究を行ない、今回の論文を書いたユニス・ロー氏は、次のように話しています。

二酸化炭素は現在約400ppmですが、何百万年先の未来では600ppm以上まで上昇すると考えられます。

もちろん、これは人類が化石燃料の燃焼をやめることを前提としています。そうでなければ、もっとずっと早くこの数字が現実のものになるでしょう。

太陽も今より熱く、強くなる

さらに数億年後には太陽もまた今より熱く、強烈になると予測されています。研究者らの推定では、今からおよそ2億年後、太陽は今より2.5%多くの放射線を放出する可能性があるとのこと。

気温40℃から50℃の地域が広範囲におよび、一日の気温差はさらに広がり、湿度も高くなります。ほとんどの哺乳類、そして(もし私たちの子孫が残っていたら)未来の人類は、平均気温40℃近い世界で息絶えることになるでしょう。

とファンズワース氏は言います。

草木が死に、食料不足に陥る?

つまり、超大陸パンゲア・ウルティマの海岸沿いは今よりさらに湿度が高く、広大な内陸部は巨大な砂漠と化す可能性が高くなります。

そうなれば、この星は十分な植生を提供できず、はるか未来の人類文明や他の哺乳類に安定した食料を供給できなくなってしまうでしょう。

このシナリオはまだかなり未来の話ですが、私たちの地球では今、社会や動物環境がストレスを受けています。化石燃料の燃焼が引き起こす気候変動により、ここ数十年、地球の気温は異常なほど上昇しています。超大陸もできていないし、太陽から強烈な放射線を浴びたわけでもないのに、北半球は歴史上で最も暑い夏を経験し、南半球のオーストラリアでは驚くほど暑い春が始まったのです。

地球に日傘をさして気候変動を緩和するアイデアが登場 温暖化や気候変動を緩和するため、小惑星を使って地球に差し込む太陽光を遮るシールドを展開するアイデアが登場。 https://www.gizmodo.jp/2023/08/asteroid-space-umbrella-climate-change.html