気候変動による問題の解決策を小学生と一緒に考える「海外たすけあい こどもワークショップ」(日本赤十字社主催)が12月1日、都内の日本赤十字看護大学で開かれた。気候変動によって現在の日本や世界で起きている危機を子どもたちに知ってもらい、30年後の2050年の地球で起こりうる人道危機の解決策を考えてもらうのが狙いだ。

イベント前半では、気象予報士の依田司さん、日本赤十字社国際部中東地域代表の五十嵐真希さんと共に、天気予報と未来の危機を掛け合わせた「天危機予報士」に任命された小学生・佐々木告(つぐ)さんが世界の現状についてプレゼンした。

佐々木さんが「2050年、日本では熱中症などの影響による死者が6,500人にのぼる」と予想すると、依田さんがその背景にある地球温暖化について詳しく解説。また、2007年に「猛暑日」が流行語大賞にノミネート、2008年に「ゲリラ豪雨」が流行語大賞を受賞したのを皮切りに、年々異常気象への注目度が高まっていると話した。

続いて五十嵐さんが、世界各地で起きている被害を紹介。インドネシアでは2007年、洪水によって1,200万人の人々が被害に遭っていること、アフリカでは1900年代に比べて地表の温度が0.5度上昇して食糧危機が深刻化していることなどを写真と共に解説した。

イベント後半では、2050年に起こりうる人道危機を防ぐため、わたしたち一人ひとりに何ができるかを子どもたちに考えてもらうワークショップを開催。

アフリカの中でも、異常気象による被害が大きいルワンダを取り上げ、「もしあなたがルワンダの○○だったら、大雨による被害に苦しむルワンダの人たちのために何をしますか?」の課題を与え、A〜Dの4つのグループごとにアイディアをまとめていった。「○○」の部分はグループごとに異なり、それぞれに割り当てられたのは、Aグループ=医者、Bグループ=学校の先生、Cグループ=農家、Dグループ=役所の人。1グループ5人の子どもたちが出したアイディアは、グラフィックレコーディング形式でその場でホワイトボードに落とし込まれた。

ワークショップが終了すると、お待ちかねの発表の時間。まずはAグループ(医者)の子どもたちがステージに登壇して、「大雨が引き起こす被害として考えられること」として「怪我」「住居への浸水」「農作物が流されたことによる飢餓」などを上げ、医者としてできることとしては、患者の手当てだけでなく、被害を拡大させないための啓もうもあるとの答えも。さらに、「病院を避難所として利用してもらう」「病気や障害のある人を優先的に受け入れる」「人工呼吸器などの装置が欠かせない人のために電気の供給をおこなう」なとの意見も上がり、会場で見守る大人たちを驚かせていた。

続くBグループ(学校の先生)は、「保護者に連絡する」「情報共有のための掲示板を作る」に加え、「言葉や笑顔、歌で子どもたちと励まし合う」と回答。さらに、災害への備えとして日ごろからハザードマップを用意しておくことの大切さも訴えた。

「農家」のテーマを与えられたCグループの子どもたちは、「身近なところに農家さんがいないからアイディアを出し合うことが難しかった」としながらも、「災害に強い食物を作るための品種改良や、災害に強い土地探しが有効だと考えた」と話し、その実現のためには「教育と協力が必要」という結論に達したという。さらに、「日本のJAのような農業組合を作ってみんなで協力できたらいいと思う」と述べた。

Dグループ(役所の人)からは、「浸水の災害を想定して区役所などの施設は高台に造ることが大切」という意見の他、「いろんな民族が暮らすルワンダでは、多言語での市内放送も必須。誰一人取り残されることのないよう、いろんな言葉と笑顔でみんなに対応することが求められると思う」と国の特性まで踏まえた上でのアイディアも飛び出した。

全グループの発表後、依田さんは、「こうしたワークショップなどを通して、正しい知識を得ること、今起きていることに対して危機感を持つことはもちろん大切だが、一番大切なのは、自分たちができることを考えてそれを行動に移すこと。今できることは今やってほしいし、大人になってからできることは、そのときに行動に移してほしい」とコメント。

五十嵐さんも、「災害に立ち向かう力、“レジリエンス”の輪を広めることはわたしたち日本赤十字社の使命。ワークショップをきっかけに、日本と世界とのつながりや、助け合うということについて考えてくれる人がひとりでも増えたらうれしい」と話し、イベントを締めくくった。

(取材・文・写真/松本玲子)