K-POPや韓流ドラマ、韓国映画が世界的に評価されている流れを、韓国の伝統文化のPRにいかせないか――。韓国の政府系機関「海外文化広報院」(KOCIS)は、外国人が伝統的な文化にチャレンジするイベント「K-コミュニティー・フェスティバル」を開き、世界への浸透を図っている。(大室一也、写真は海外文化広報院提供)

KOCISが初めてフェスを開いたのは2019年。ヨーロッパ地域を対象に参加者を募集した。7月にイギリス、ドイツ、スペイン、ポーランド、ベルギーから計約30人を1週間ほど韓国に招き、打楽器演奏「サムルノリ」や民謡などを学んでもらった。参加者は帰国後、練習を重ね、10月にベルギーの首都ブリュッセルで開かれたフェスで成果を披露した。K-POPアイドルのパフォーマンス披露もあり、会場には約4000人の聴衆が訪れたという。

ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた1回目のフェスには約4000人の来場者があったという

2回目の20年は当初、中央アジアで参加者を募り、カザフスタンでフェスを開く予定だった。だが、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)でオンラインでの開催に変更を余儀なくされた。

だが、オンライン開催を機会に対象地域を限定せず、世界中で参加者を募ったところ、サムルノリや仮面舞踊「タルチュム」など5部門に38カ国から313人がエントリーした。参加者は専門家らがユーチューブに投稿した講義動画を見て学び、練習風景や2分以内のパフォーマンスを撮影した動画を韓国に送って審査を受けた。

11月、参加者同様に韓国の伝統文化に挑んだK-POPアイドルがステージ上に立つ韓国の会場と、世界各国をオンラインで結び、フェスが開かれた。首都ソフィアの街中でタルチュムを踊る動画を投稿したブルガリアの女性ダラ・カラボエバさん(24)が、5部門の中で総合1位を獲得した。カラボエバさんは15年に友人からK-POPを紹介され、その後、韓国の伝統文化にも興味を持ったという。

タルチュムを選んだのは、好きなK-POPグループ「ONF」が紹介していたことや、カラボエバさん自身、モダンダンスをたしなんでいるからだったという。本物のお面や衣装をブルガリアで調達するのは難しく、いずれも手作りした。手芸店で既製品のマスクを買い、シリコンを使って5時間ほどかけて成形した。衣装は生地を購入してミシンで縫うなどして約10時間かけて作った。

2020年、2回目のフェスで総合1位となったブルガリアの女性ダラ・カラボエバさんの伝統舞踊パフォーマンス

タルチュム部門で1位のみならず、総合でも1位を獲得。「総合1位は予想もしていませんでした」と喜ぶ。今年のフェスティバルにはテコンドーダンスに挑戦したいという。「昨年はコロナ禍だったので、安全を考え、1人で申し込みました。グループでやった方が楽しそうなので、今年はグループで参加したいです」と話した。

■伝統文化の普及に手応え

2020年の2回目のフェスにテレビ会議システムで参加した出場者(後方の映像)と、韓国でステージに立つK-POPアイドル

フェスを主管する韓国国際文化交流振興院(KOFICE)によると、10代、20代のK-POPファンの参加者が目立つが、60代もいたという。KOFICE交流事業部の崔裕梨(チェ・ユリ)交流事業チーム長は「K-POPや映画といった大衆文化を窓口にして、伝統文化に興味を持ち、理解を広げられればいい。講義映像をただ、まねするだけでなく、仮面や衣装を手作りするなど、自分たちの文化も取り込んでいた。文化交流の可能性を感じた」と話す。

2019年10月、ベルギーの首都ブリュッセルで1回目のフェスが開かれた