スウィング改造を経てPGAツアー「ウェルズファーゴ選手権」で約1年半ぶりの復活優勝を遂げたロリー・マキロイ。ニュースウィングでは一体どこが変わったのか、そしてアマチュアの参考になる部分はあるのか。"飛距離アップ請負人"の異名を持ちYouTubeでも大人気のプロゴルファー・吉田一尊に解説してもらった。

先日PGAツアー「ウェルズファーゴ選手権」で復活優勝を果たしたロリー・マキロイ。約1年半ほど勝利から遠ざかっていましたが、どうやらブライソン・デシャンボーの圧倒的な飛距離を目の当たりにして「もっと飛ばさなければ」とさらなる飛距離を求めた結果、スウィングの調子を崩してしまっていたみたいなんですね。

その後新たなコーチに指導を仰いでスウィング改造を果たした結果が優勝という形で表れたわけです。実際、新スウィングは以前のスウィングから変わっている部分も多くありますので、さっそく解説していきたいと思います。

まずアドレスを見てみると、ボールのポジションが以前より左寄りに置かれています(写真A右)。旧スウィングではもうちょっと右寄りにボールを置いてドローボールを打っていたのですが、ウェルズファーゴ選手権ではフェード寄りの球を多用して打っているように見えたので、ボール位置の変更はフェードを狙って打つためである可能性は高いですね。

始動は手をあまり使わず体の回転で上げていく形で大きく変わっていませんが、旧スウィングと比べるとバックスウィングでの右サイドへの体重移動の度合いが結構減っています。体を左右に揺さぶりながらスウィングするのがマキロイの特徴でしたが、新スウィングでは左足を軸足に、大きな体重移動を減らして振っているように見えますね(写真B右)。

ダウンスウィングで特徴的なのが頭の位置。マキロイはもともと体重移動の量が多いほうですが、旧スウィングでは頭の位置が左へ動き過ぎておらず、ダウンスウィングでは頭を残して上半身を傾け、アッパー軌道で打っていました(写真C)。

一方新スウィングでは左足軸のバックスウィングからさらに左サイドへ体重移動しているので、ダウンスウィング時の頭の位置が旧スウィングより左に寄っています(写真D)。そのため、インパクト前後で上半身がほぼ傾いておらず、垂直に近い体勢です。

上半身の傾き度合いが減っているということはつまり、アッパー軌道でボールを高く上げていくのではなく、上から抑えるように打っているんです。ヘッドの入射角がダウンブローに近い、アイアン的なコントロールを重視したスウィングに変わっているんです。

フォローでも、旧スウィングでは上半身をかなり傾けて高い位置へ振り抜いていましたが(写真E左)、新スウィングでは垂直に近い体勢で低く振り抜いています(写真E右)。ここからも球の高さも抑え気味にして振っているのが分かりますね。

もちろんコントロールを重視したスウィングであるぶん飛距離は落ちますし、アッパーで打つ場合よりスピン量も若干増えているとは思います。

しかし、スピン量に関してはクラブの性能である程度カバーできますし、飛距離についても、マキロイはもともとボール初速80m/s級のPGAツアー屈指の飛ばし屋。もともと十分飛ぶ選手なので、多少飛距離は落ちてもそのぶん方向性が高まれば良いわけです。

実際、復活優勝を果たしたウェルズファーゴ選手権での平均飛距離は324.4ヤード。いくらPGAツアーの距離が長いと言っても、350ヤード以上も無理に飛ばさなくても十分戦っていけますから、デシャンボー並みに飛ばすことよりも正確性を取ったわけですね。

もちろんコントロールを重視してなお異次元の飛距離を出せるのはマキロイだからこそですが、このアッパー軌道を抑えたアイアン的スウィングは、アマチュアの方にも有効です。

これに関しては合う・合わないが結構分かれてきますが、とくにドライバーで飛距離を重視し過ぎて右サイドに体重が残ったままあおり打ちしてしまい、左への引っかけや逆に右へ大きくプッシュするミスが出る方は、マキロイのようにテークバックで右への体重移動を抑え、左足軸でクラブを上げて、ダウンスウィングで左へ体重移動しながら打ってみると良いでしょう。

ポイントは、右のお尻をダウンスウィングで目標方向側に押し出すような動き。この動きによって、マキロイのようにグッと左に体重移動してボールをあおらず上から抑える動きが作れます。すると、スウィング軌道がレベルブローに近づき、あおり打ちのクセが改善されると思いますよ。