廣野ゴルフ倶楽部で開催された第108回日本アマチュアゴルフ選手権。前日夜からの大雨で、10時に最終日のラウンド中止が確定。それにともない、3日目に7アンダーで首位タイだった松山茉生と山下勝将とのプレーオフで勝者が決まることとなった。プレーオフは10番ホールと11番ホールで行われ、松山が2ホール目をパーとし、山下を振り切った。

2年連続のプレーオフ決着となった日本アマ。コースコンディション不良の影響による4度のスタート遅れで、プレーオフ開始時間が14時と確定したのは12時45分。スタートの1時間前の13時少し前に練習場に現れた松山は10分弱、アプローチ練習をし、13時10分ごろからショット練習に入る。

「今日は朝5時半に起きて、6時にスタート時間が遅れることを聞きました。そのあと8時にホテルを出て、会場近くの練習場で練習していました。その練習中に、プレーオフ決着という話を聞いて、緊張していました」(松山)

雨が小康状態になった14時に10番ホールでオナーを務める。「緊張して振るえるほどでした」というティーショットは2番UT『スリクソンZX』で打つと、みごとフェアウェイをキープ。セカンドショットをウェッジで打ち、スピンバックであわやカップインのスーパーショットを見せ、ピン手前2mにつける。山下がバーディパットを先に決めていたので、ここでも「ラインは読めていましたが、緊張して手が震えました」といいつつ、しっかり決めて11番ホールへ。

11番ホールは本人が「得意」と話すドライバーで打つと、右バンカーにつかまる。それでも「左ラフだけは避けたいと思っていたので、バンカーでもぜんぜんOKでした」とマネジメントどおり。ピンまで168Yのバンカーショットを9番アイアンで約10mの位置に。対する山下はティーショットでフェアウェイをキープするも、セカンドが「少し滑ってしまった」と悔やむ一打でピンから20mほど離れたカラーに。山下の位置からだと上りきった箇所にピンが切られておりその先は下り傾斜。「得意」のパターで果敢にカップインを狙いカップをなめるも、そのまま抜けて逆のカラーに。そのパットをみた松山は上って下るスライスラインのパットを2m弱に寄せる。山下のカラーからのパーパットが外れ、万事休す。

パーパットを決めて、キャディをしていた幼いころからゴルフを習う父・阜司(あつし)さんと熱い抱擁を交わし、優勝を噛みした。

パーパットを沈めた松山は「2m弱のパットを決めてほっとしましたが、それでも10番Hと11番Hのロケーションは嫌いじゃないので、まだ続いてもぜんぜん大丈夫」という気持ちだったという。

勝因を聞くと、「先週のトヨタジュニアも個人優勝できて、調子が良かったことが挙げられます。正直、優勝できるのはいましかない! と思っていました。パー70なのに距離は長いし、ラフも長いので、ラフに入ったらだめですが、フェアウェイからならポジティブな気持ちで打てました」と分析する。

好きな選手はブルックス・ケプカといい、その理由を「昨年のホブランと競り合った全米プロ。最終ホールで守りに入らず、しっかりドライバーを振り抜く姿がカッコいいと思ったから」という。現在、松山英樹のコーチを務める黒宮幹仁の母校で、コーチを務める福井工大福井高に通う1年生。

ケプカに憧れる茉生(マオ)が世界を知るヒデキのコーチに習ってどこまで昇り詰めるか、注目だ!

PHOTO/Hiroyuki Okazawa