今回の人気モデル:メルセデス・マイバッハ GLS

[メルセデス・マイバッハ GLS]自動車ジャーナリスト 竹岡 圭と巡る人気中古車実車レビュー

文●竹岡 圭、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
※中古車参考価格はすべてグーネット2024年5月調べ。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年7月号の内容です)

試乗レポートではわからない、身近でリアルな使い勝手を実車を取材してレビューするのが、「人気中古車実車レビュー」。デザイン、装備、使い勝手をレビューしつつ、中古車相場についても中古車販売店に取材し掘り下げます。

Profile:自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもお馴染みの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

最上級SUVをさらに磨き上げた究極の1台

 今回チェックするのは、ドイツを代表するラグジュアリーカーブランド、メルセデスのサブブランドであるメルセデス・マイバッハから発売されているマイバッハ GLS。取材させていただいたのは、2021年登録の「マイバッハ GLS 600 4MATIC」で、走行距離は1万3000km、支払総額は2374万3000円です。
 実車チェックを行うのは、自動車ジャーナリストの竹岡圭さん。これまで多くのレビューを担当していますが、マイバッハの登場にびっくり。なかなか紹介する機会も少ないので、まずはどのようなブランドなのか解説していただきました。
 「メルセデスと縁のあるヴィルヘルム・マイバッハが立ち上げた(1909年設立)超高級車ブランドで、20年代、30年代に活躍していたのね。戦後は乗用車を製造していなかったんだけど、メルセデス傘下になってから1997年に復活した。初めてコンセプトカーが登場したのが東京モーターショーだったからすごく印象的だった。座らせてもらったら異次元の世界が広がっていて。あぁ、VIPとセレブの世界って、こういうことなんだなって実感した。もちろんメルセデスもラグジュアリーカーブランドとして歴史と伝統があるし、クルマとして完成度が高いんだけど、世界観が違う。ドライバーズカーでもあるんだけど、基本的にオーナーは後席に座るショーファードリブンとして作られている」
 現在、マイバッハはAMGと同様にメルセデスのサブブランドとして位置づけており、2015年にSクラス(W222)ベースのマイバッハ Sクラスを導入。2021年にフルモデルチェンジしたSクラス(W223)と同時に、マイバッハ GLSを発売開始しました。
 ベースとなっているのは最上級SUVのGLSで、内外装のデザインや装備を大幅にグレードアップ。エアサスに油圧システムを組み合わせた高度な足まわりで、快適な乗り心地と高い安全性を両立します。
 「これまでショーファードリブンといえばセダンタイプだったけど、今の時代はSUVでも成り立つんだね。たしかに長距離移動のときはセダンが快適だろうけど、室内空間を重視するなら、SUVを選ぶメリットも大きいよね」と竹岡さん。
 取材におじゃましたメルセデス・ベンツ品川は、マイバッハ/SLRサービスセンター東京として長年スペシャルモデルのサポートを続けてきた実績があるお店。セールススタッフの渡邊さんによれば、マイバッハのユーザーはオンオフともに忙しい方が多く、移動中に会談や執務が行え、効率的にリフレッシュできるマイバッハ GLSは、時間を有効に使えるクルマだと高い評価を集めているとのこと。また、こうしたユーザーは改良型が登場すると買い替える傾向にあるため、状態のいい物件が多いとのこと。
 「マイバッハはブランドの格が高くて、ライバルはウルトララグジュアリーブランドになる。それらのSUVと比較すると、むしろ価格的にはお得感があると思うの。それが認定中古車として2年間の保証付きで手に入るというのは、とても安心感があると思うな」

究極のステータスを提供するマイバッハ

 「究極のラグジュアリーと最先端テクノロジーの融合」を追い求めるメルセデス・マイバッハ。ラグジュアリーなだけでなく、所有するステータスをオーナーに提供するブランドだ。メルセデス・マイバッハ GLSは、最上級SUVというだけでなく、ショーファードリブンとしても活用可能。中古車も取材時点で50台ほど流通していた。

中古車参考価格帯:2150万円〜3450万円(21年〜24年 メルセデス・マイバッハ 全グレード)

取材協力|メルセデス・ベンツ品川

 メルセデス・ベンツの取り扱い店として30年以上の歴史を持ち、認定中古車を扱うサーティファイドカーセンターは常時30台以上の在庫車を展示。そのラインアップも、東京を代表する販売店にふさわしく、希少価値の高いものやハイクラスのモデルが中心。屋根があるため、天候に関わらず快適にクルマを見ることができる。

SHOP DATA
住所:東京都品川区東品川3-28-25
TEL:03-5479-1700
定休日:祝日
営業時間:9:30〜18:00(平日)、10:00〜18:00(土・日)
URL:https://www.mercedes-benz-shinagawa.jp

メルセデス・マイバッハ GLSの実車をチェック!

【デザイン】ステータスを感じさせる威風堂々した姿

 メルセデス・マイバッハ GLSのデザインは、「威風堂々」という言葉がまさにぴったりきます。GLSをベースにしながらも、ディテールと品質を最高レベルに磨き上げることで、まるで違うクルマかと思わせるほどの存在感。クラフトマンシップを感じさせる繊細なグリル、23インチの鍛造アルミホイール、各所にあしらわれたメッキパーツは、どれも上品な輝き。純正オプションとしてツートンペイントが選べるのも、マイバッハならではの特徴となっています。

ツートンペイントは新車では280万円の有償オプション。インテリアカラーもメルセデスのGLSとは異なる華やかなコーディネート。

【装備】GLSを凌駕する充実した後席装備の走るファーストクラス

 装備については書ききれないほど充実しています。特に後席用の快適装備はクルマの領域を超え、乗り物としても最上級。メルセデスが誇る高機能なインフォテインメントシステムMBUXを搭載。各種操作はリアシートから、専用のモニターに加えてひじ掛けに備わる取り外し可能なタブレットでもできるようになっています。サスペンションはエアサスで、四輪それぞれに48Vで動作する油圧ユニットを搭載することで、あらゆる路面で快適な乗り心地を実現します。

後席が左右独立シートとなりクーリングボックスや格納式テーブル、シャンパングラスホルダーが備わるファーストクラスパッケージ。

【使い勝手】車体の大きさをカバーする充実のサポート機能

 全長約5.2m、全幅約2m、全高約1.8mという巨体だけに、使い勝手が心配になりますが、そこはメルセデスだけにケアが行き届いています。視界に優れ、ハンドルがよく切れることに加えて、360度カメラシステムによって周囲の障害物を確認できます。MBUXリアエンターテインメントシステムはシートに体を預けたまま、手元のタブレットでも操作可能。外からの日差しや視線をさえぎるブラインドも電動です。室内空間にゆとりがあるため、会談や仕事場としても有用。

SUV版リムジンともいえるだけに、乗り降りのための電動格納式ステップも大きく使いやすい。冷蔵庫装着車は400Lの荷室容量となる。

現代のニーズに応えるSUV版ショーファーカー

竹岡 圭 レビュー

デザイン[★★★★★]

 ツートンカラーがいかにもマイバッハという感じですね。このクラスになったら、ここまで主張が強くてもいいと思います。目立つがゆえに、逆に安全!? オフィスとしては宣伝にもなるかも! レベル違いの世界ではありますが、実用性や安全性等々を考えると、意外とコストパフォーマンスは悪くないのかもしれません。

装備[★★★★★]

 テーブル&ディスプレイ、傍らに電話があり、デスクワークは万全。ひと休みというときに、冷蔵庫からドリンクを取り出して寛ぐ……なんていう使い方、想像するだけで最高ですよね。また、たまにはシャンパーニュを楽しみながら優雅にドライブ……なんていうこともできますから、フレキシブル性の高いモデルともいえます。

使い勝手[★★★★★]

 ショーファードリブン的な使い方と言えば、これまで基本はセダンだったと思いますが、空間的広さで考えるとSUVのほうが断然ゆったり感はあります。書斎的に使うならば、こちらのほうが使いやすく理にかなっているのかも。乗り心地的にはセダンのほうが上だとは思うので、快適さかスペースかの選択ですね。

編集部 レビュー

デザイン[★★★★★]

 繊細なフィンを並べたアッパーグリルや戦前のクルマを想起させるメッシュのアンダーグリルなど、まさにマイバッハらしい精緻で上品なディテールは、見ているだけでうっとり。それでいて、ステータスを感じさせる威厳を両立させているのがさすがです。取材車両のインテリアは真っ白。さすがのセンスです。

装備[★★★★★]

 ベースとなっているGLSがメルセデスの最上級モデルなので、その時点で装備は最上レベル。マイバッハ版ではさらに後席の快適性を高める装備が盛り込まれています。それを象徴するのがオプションの「ファーストクラスパッケージ」。独立シートに加えて、取り外し可能なタブレット端末など、至れり尽くせり。

使い勝手[★★★★★]

 一般的な高級車よりもさらに多くの機能を備えながら、操作をMBUXに集約することでスイッチ類が少なく、さらにボイスコントロールも可能になっているので、慣れると使いやすそう。プライバシーが保たれた部屋で移動できると考えれば、それを必要とする人にとっては抜群の使い勝手といえるのかもしれません。

ライバルモデルをチェック!

BMW XM

 BMW MのフラッグシップSUV。BMWらしいスポーティさを備えながらも、ラグジュアリー要素が強いモデル。ラウンジをイメージしたリアシートなど、居住性へのこだわりは強い。

中古車参考価格帯:1670万円〜1920万円(23年〜24年 XM 全グレード)

ベントレー ベンテイガ

 英国のウルトララグジュアリーブランドによるSUVでクラスの先駆け的存在。威風堂々としたスタイル、上質でクラフトマンシップにあふれるインテリアはまさにベントレーの世界。

中古車参考価格帯:1290万円〜3700万円(16年〜24年 ベンテイガ 全グレード)

著者:グーネットマガジン編集部