『Dramatic Dream “BATTLE"』が16日、DDT初使用となる東京・TOKYO FMホールで行われ、DDT UNIVERSAL王者・MAOが5日後に引退を控える“憧れの人"獅龍を破り9度目の防衛に成功。7・21両国大会での上野勇希とのKO-D無差別級王座戦へ向けて弾みをつけた。

 宮城出身のMAOはみちのくプロレスに影響を受けてプロレスラーになった。特にルードユニット海援隊☆DXへのリスペクトは特別。そのメンバーの一人で、対戦経験のないカズ・ハヤシの“化身"獅龍も憧れの存在だった。その獅龍が引退を控えるとあって挑戦者に指名。この日のタイトル戦が実現した。

 大会オープニングで行われた調印式でMAOは「俺はThe37KAMIINAで海援隊☆DXとやりたい夢があった。いつかと思っていたら獅龍選手は引退するとなって、最後に触れたいと思って引っ張り出すことができました」と感無量の様子。「もし負けることがあって、ベルトを獲られたら持ったまま封印してください」と覚悟を決めつつ、「僕がベルトを持っていろんなプロレスを見せていくことが使命だと思ってるんで、まだまだ持ち続けていきたい」と防衛を誓っていた。

 序盤、獅龍が得意の欽ちゃんジャンプを披露すると、MAOも無意識のうちにつられて飛んでしまう。これで自分のペースに引き込んだ獅龍は足に的を絞ってねちっこく絞め上げた。10分過ぎ、場外戦になると、獅龍はMAOをバックステージに連行した。戻ってくると獅龍はヒールバージョンのマスクにチェンジ。MAOは額から流血していた。レフェリーがMAOと交錯して昏倒すると、獅龍はイス攻撃を連発するルードぶりを発揮。テーブルを立ててパワーボムを敢行した。

 ようやくレフェリーが復活すると、獅龍の凶器攻撃を制止。息を吹き返したMAOは旋風脚、掌底、居合いキックと攻め込んだ。獅龍が2カウントで粘っても、海援隊☆DXのTAKAみちのくの必殺技であるみちのくドライバーIIを繰り出して3カウントを奪った。

 MAOが憧れの獅龍を下し、UNIVERSAL王座V9を果たした。試合後、マイクで「前半、意味分かんなくて、後半スイッチが入るのは俺のリズムなんですよ。きっと獅龍から影響受けてしまってるんだ。獅龍は変なヤツだ。俺はもっと変なヤツなだけだよ」とシンパシーを口にしたMAOは「俺はUNIVERSALを通して、いろんなプロレスを見せて来たよ。無差別でできないことをこのベルトでやって行くんだ」と改めて誓った。

 次なる大勝負は7・21両国大会。盟友・上野勇希の持つKO-D無差別級王座に挑戦する。「UNIVERSALはいったんお休みだ。俺には獲らなきゃいけないベルトがあるんだよ」と言い切ったMAOは「上野勇希、両国は今世紀最大のお楽しみだ。俺はUNIVERSAL王者として両国に立つ。上野勇希は無差別級王者として立つ。両国でガッチリ行ってやる。両国までやりまくる」と宣言した。

【MAOの話】「すごかった。自我を保つのに必死だった。ああやっていろんなレスラーを食って来たんだろうな。獅龍の存在感とMAOの存在感の食い合いの中で、最後、俺がギリギリ食えたってだけだ。やっててすごいシンパシーを感じた。俺の根本にあるのはあの人たちなんだよ。最後に俺が抜いた刀もみちのくドライバーなんだよ。俺には東北の血が流れてるんだよ。俺のプロレスには東北のプロレスが流れてるんだよ。獅龍さんと試合できてよかった。またベルトの重みが増えた。UNVERSALチャンピオンとして、まだまだ頑張んなきゃいけない。そして無差別級獲って、DDTのさらなる高みに行かなきゃいけない」