「ファシア」の存在を知っていますか？ ファシアは体中の組織や臓器を覆っている膜のこと。凝り固まって癒着すると体のあちこちに不調が起こると、東京医科大学整形外科准教授の遠藤さん。ファシアをゆるめると、うれしい効果がたくさんあります！
「ファシア」とは？ゆるむと代謝もアップ！
特に肩甲骨と骨盤のファシアをゆるめることで、背骨が正しい位置に収まり姿勢が良くなって体のゆがみがただされ、ぽっこりお腹がスッキリすることは、前回詳しく伺いました。ほかにもファシアをゆるめることで、体にいいことがあるそう。
「ファシアは体中の組織や臓器を覆っている膜で、いわば“動きのあそび”の部分です。ゆるんでいるからこそ、接している部分の動きをよくします。
ファシアがゆるむ→血行がよくなる→代謝がアップする→自律神経が整う→体の不調が消える→ファシアがゆるむ、という好循環を作っていくことが大切です」と東京医科大学整形外科准教授の遠藤健司（えんどう・けんじ）さん。
目に見えないファシアが体の中にあることを意識して、ゆるめる生活を送るように心掛けましょう。
ファシアをゆるめると筋肉の動きがスムーズに！
正常なファシアは動きが滑らか。
ファシアが癒着すると動きが悪くなります。
体を動かさないこと以外に、ファシアが硬くなる原因はむくみ。
体内の水分がファシアにたまり、パンパンになって、筋肉や血管を圧迫、さらにファシアが硬くなってしまいます。動かしてゆるめることが大切。
ぽっこりお腹解消のほかにも3つのいいこと
いいこと1：自律神経が整います
ファシアをゆるめることで、体の緊張がほぐれ、心身もリラックスします。リラックスすると、副交感神経と交感神経の緊張と弛緩のバランスが整い、不調の原因を減らします。
いいこと2：肩コリが解消します
ファシアが硬くなっていると筋肉が緊張し、血行が悪くなります。筋肉にたまった疲労物質が排出されにくくなり、コリや痛みの原因に。ファシアをゆるめれば肩コリも楽になります。
いいこと3：お通じもよくなります
便秘には、運動不足、水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下など、さまざまな原因が考えられますが、ファシアをゆるめて血行がよくなると、腸の活動が整えられ、お通じもよくなります。
前回紹介した1回5秒のファシアゆるゆるストレッチを実践して、ファシアゆるゆる生活を手に入れましょう！
遠藤健司（えんどう・けんじ）さん
東京医科大学整形外科准教授。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。体の不調に関連するファシアの研究に取り組む。著書に『1分で美姿勢になるファシアストレッチ』（青春出版社刊）など多数。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
取材・文＝原田浩二（ハルメク編集部） イラストレーション＝フジマツミキ
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年6月号を再編集し、掲載しています。
