夫へのストレスが原因で、うつっぽくなったり頭痛が起きたりといった不定愁訴を「夫源病(ふげんびょう)」と名付けた医師の石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)さんによる連載です。第5回目は夫源病の原因につながる夫の行動タイプ「わしも族」を解説します。

妻の行動を制限するモラルハラスメント夫

妻の行動を制限するモラルハラスメント夫

今回からは、これまで私が診てきた夫源病の原因になっていると考えられる夫の行動をパターンに分けて、具体的に例を挙げていきましょう。

高齢のご夫婦が仲良く旅行したり、買い物したりする姿をよく見掛けます。果たして、本当に彼らは仲が良いのでしょうか? 実は妻は友人と一緒に旅行したり、一人で買い物に行きたいと思っているのですが、夫がそれを許さず、自分と一緒に行くことを強要する例が少なくありません。

例えば妻が買い物に行くと言えば、「わしも一緒に行く」と無理矢理ついて行きます。妻が友人と旅行計画していると「なぜわしも連れて行かないんだ」と怒り出します。このような夫は「わしも族」と呼ばれているようです。名前の由来はみなさんの想像通り、「わしも連れて行け」ということから来ています。

さて、常に夫と一緒に買い物や旅行している妻はストレスが溜まります。しかも、いつも一緒にいるので夫婦が円満のように他人から見えます。

「わしも族」の夫を見分ける方法は?

「わしも族」の夫を見分ける方法は?

「わしも族」の夫を見分ける簡単な方法があります。それは夫婦で歩いている姿です。本当に仲の良いご夫婦なら手をつながなくても横に並んで歩いています。「わしも族」的なご夫婦の場合は前後で歩いていることが多いです。特に夫が先に歩いて、必死に妻がついていくというパターンが多いようです。時には10m以上離れて歩いている夫婦もいらっしゃいます。

並んで歩くとおしゃべりができます。このようなご夫婦はおそらく仲が良いと想像できます。前後に歩いていると会話することはできません。さらに夫が主導的にウロウロし、妻が引きずり回されるので、支配関係ができます。

モラハラ夫「わしも族」の夫への対策は?

モラハラ夫「わしも族」の夫への対策は?

では、「わしも族」の夫を減らすのはどうすればよいのでしょうか?

「わしも族」は多くは、主に定年後の男性です。仕事に一生懸命の時期は妻の行動など見向きもしなかったのですが、定年になって暇になると妻があちこち出掛けるのが気になります。

それに加えて自分でやることが何もないので暇です。そのために妻の行動を監視して制限したり、付きまとったりすることになります。

それを予防するために、一番いいのは、若い時から一人で遊ぶような趣味を持っていることです。定年になって新しい趣味を始めるのはなかなか難しいようですが、何もしないよりずっといいです。

また会社の延長で付き合いのあったゴルフや麻雀といった趣味は、定年になれば仲間がいなくなって時間を持て余すことになります。

まずは一人で遊べる趣味を持つことが肝要でしょう。それに関してはまた次回お話しさせていただきます。
 

石蔵文信さん(いしくら・ふみのぶ)さんのプロフィール

石蔵文信さん

1955(昭和30)年生まれ。大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)