少子高齢化は、時として「地元の味」も奪ってしまいますが、北海道陸別町では、7月1日、休業していた老舗の味が帰ってきました。そのわけとは。

人口2100人あまり、十勝の陸別町です。7月1日、老舗のそば店が復活しました。

常連客
「みんなやっぱり待ち焦がれている」

陸別町 本田学町長
「うまい。味わって食べたい」

“正己 秦食堂”は、戦後まもない1947年に創業。地元のそばを自家製粉。つなぎを一切使用しない、手打ちそばで、人気を集めてきました。

時崎愛悠記者
「蕎麦粉100パーセントとあって、蕎麦の香りがしっかり口の中に広がって美味しいです」

この店は、当時の高橋知事が、2008年・北海道洞爺湖サミットの誘致を決断した場所でもあります。

高橋はるみ知事
「十勝管内に入った時に陸別で中川昭一政調会長とサシでお話をすることがあって、そのあたりがひとつの転機かもしれませんね」

店主の秦さんは、4年前に親が相次いで他界した後、人手不足で、去年7月から店を休業していました。

秦秀二店主
「(従業員が減ると)お客さんにも迷惑かけるし、商売としてやるのはキツいかなと思った」

そこで、陸別町が「地域おこし協力隊」の制度を使って募集したところ名乗りをあげたのが、地元出身の山崎聖弥さんです。

山崎聖弥さん
「(親から)地域おこし協力隊をやってるけど、どう?と言われて。町の飲食が減少しているので、応募しようと思った」

東京でフランス料理の経験を積んだ山崎さん。今は、豚丼やタレの作り方などの仕込みを覚えています。

山崎さん
「しっかり受け継ぐことが第一なんで、頑張ります」

秦さん
「頑張ってもらわないとね」

山崎さんは最長で3年間修行したあと、老舗の味を引き継ぐことになります。