北海道内でワイン作りに取り組むマチが増えています。北海道南部の八雲町もそのひとつです。新幹線の札幌延伸をきっかけにワインを新たな特産品に育てようとしています。

酪農が盛んな八雲町。町内で生産された牛乳は、不二家のロングセラー「ミルキー」にも使われていることで知られています。

そんな「ミルクのマチ」で進んでいるのが…ブドウの栽培です。

21日、八雲町内でブドウの苗木、約600本が植えられました。品種は「シャルドネ」、白ワインの原料でおなじみです。

3年前からワイン用のブドウの栽培に取り組む八雲町。

別の場所には、赤ワイン用のブドウ約900本が栽培されています。

八雲町地域おこし協力隊 茂木琢磨さん(33)
「(八雲町には)チーズやホタテ、サーモンなどの特産物があるので、それと合わせやすい品種のワインを作りたい」

「ミルクのマチ」がワインづくりに熱心なわけは、観光客を取り込むためです。2022年度、八雲町を訪れた観光客は38万人と、北海道渡島地方の11のマチの中で7番目。

山あり、海あり、温泉ありと資源が豊富ですが、函館市などに押されて「スルー」されてしまうのが長年の悩みです。

八雲町は、新幹線の札幌延伸でできる新たな駅を、全国初の「牧場の中の新幹線駅」として売り出して観光スポットにする考えです。

駅の周りにはワイナリーやレストランが設けられ、1泊してでも味わいたくなる八雲町のワインで観光客を「スルー」させない魅力アップを目指しているのです。

八雲町地域おこし協力隊 茂木琢磨さん(33)
「(新幹線は)期待しかない。いろいろな人に八雲町を知ってもらい、立ち寄ってもらえる道が開ける。すごくいいなと思っている」

新幹線の延伸延期は残念ですが、21日植えたブドウがワインになるのは5〜6年後。

開業に合わせて出荷させたいと意気込んでいます。

 一方、新幹線の函館駅への乗り入れを目指す、函館市の大泉市長。21日、札幌への延伸延期について問われると。

函館市 大泉潤市長
「大きな衝撃を受けている。今回この時期に、『極めて困難』という事態になったのか、(鉄道・運輸機構などに)丁寧な説明と(1日も早い開業を)要望したい」

延期による函館駅乗り入れ計画への影響は、明言しませんでした。