第104回全国高校選手権は準々決勝まで終了しベスト4が決定。顔ぶれは聖光学院(福島)、仙台育英(宮城)、近江(滋賀)、下関国際(山口)となった。4校とも初優勝を狙い、そのうち下関国際をのぞく3校は県勢初優勝もかかっている。高校野球史では語り継がれるべき大会となってきている。20日に行われる準決勝の見どころを紹介していきたい。

仙台育英vs聖光学院の東北勢対決!聖光学院は僅差で後半戦へ!仙台育英は序盤から主導権を握れるか?

佐山未來(聖光学院)・古川翼(仙台育英)

仙台育英(宮城)vs聖光学院(福島)

 東北勢同士の対決。取材をしていても、お互いリスペクトしあう雰囲気が見える両校が甲子園の準決勝で戦うことになった。聖光学院は総力戦。仙台育英は流れを渡さない継投策が重要となる。

 聖光学院はゲームマネジメントする上で、エースの佐山 未来投手(3年)に頼らざるを得ない状況だ。しかし球数制限の関係で残りの球数が少ない。聖光学院は先週の日曜日(14日)から3試合をこなしている中、ほとんど佐山に頼ってきた。その間の合計球数は358球。残りは142球。仙台育英打線にじっくり攻められると、リミットが迫る状況だ。

 聖光学院打線は1番赤堀 颯内野手(3年)から5番山浅 龍之介捕手(3年)までを中心に当たっている。今年の聖光学院打線の打撃技術を見れば、仙台育英投手陣を十分に捉える能力はあり、打撃戦、もしくはシーソーゲームに持ち込むことができるので、終盤へ向けて底力をどう発揮できるかが鍵になる。

 対する仙台育英は投手陣の戦力、球数は最も余裕がある。21年のセンバツ優勝・東海大相模(神奈川)、21年夏の優勝・智辯和歌山(和歌山)、22年センバツ優勝・大阪桐蔭(大阪)と強力投手陣をうまくマネジメントしたチームが優勝してきた戦い方を見ると、仙台育英も過去の優勝チームと共通する点が多い。

 だからこそゲームマネジメントが必要だ。前半はどの投手がゲームメイクするか、後半、聖光学院の追い上げを凌ぐ投手はどの投手にするべきか。今のところ修羅場をくぐり抜けた古川 翼投手(3年)が後ろになることが予想される。また、準々決勝で登板がなかった高橋 煌稀投手(2年)、湯田 統真投手(2年)の2人がキーマンとなるだろう。未完成であるが、仁田 陽翔投手(2年)も状況次第では登板があるだろう。

 強肩・山浅をはじめ、守備が堅い聖光学院守備陣だが、連打で着実に点を重ねていきたい。

 最終的には、5点〜8点勝負の展開となりそうだ。

 聖光学院は僅差で後半戦へ。仙台育英は、序盤から集中打で主導権を握っていきたい。

【各投手の球数】
★聖光学院
佐山 未来投手
14日 2回戦:横浜(神奈川) 119球
16日 3回戦:敦賀気比(福井) 107球
18日 準々決勝:九州学院(熊本)132球

小林 剛介投手
16日 3回戦:敦賀気比(福井) 19球

★仙台育英
古川 翼投手
15日 3回戦:明秀日立(茨城)53球
18日 準々決勝 愛工大名電(愛知)52球

斎藤 蓉投手
15日 3回戦:明秀日立(茨城) 31球
18日 準々決勝 愛工大名電(愛知)71球

高橋 煌稀投手
15日 3回戦:明秀日立(茨城) 46球

湯田 統真投手
15日 3回戦:明秀日立(茨城) 31球

下関国際は王者撃破の投手リレーで近江撃破なるか?近江は山田以外のヒーローが現れるか?

下関国際・山田陽翔(近江)

下関国際(山口)vs近江(滋賀)

 大阪桐蔭(大阪)を破り、勢いに乗る下関国際(山口)と、17年の秀岳館(熊本)以来となる3季連続甲子園ベスト4入りの近江(滋賀)との一戦。

 近江については山田 陽翔投手(3年)の下半身の回復具合が懸念材料ではあるが、球数の面においては、準決勝では、15日の3回戦、18日の準々決勝が対象となり、現在は250球と、決勝戦までほぼ投げられる計算だ。

 準々決勝で緊張のかかる場面で好リリーフを見せた星野 世那投手(3年)は大きく自信をつけた。大一番で先発、あるいはリリーフできる経験値は十分に積んだといえる。星野の起用が鍵となるだろう。

 打者陣では準決勝から2年遊撃手・横田 悟内野手も登録となる。戦力としてはかなり心強い。2番・清谷 大輔外野手(2年)、5番・石浦 暖大内野手(3年)と山田以外の打者もチャンスメーカーとして機能をしている。

 下関国際は、長打ではないが、連打でチャンスを作り、相手守備陣をあざむく攻撃で着実に点を絡めるチームだ。また守備隊形もかなり鍛えられており、失点が計算できる。

 不安材料として先発・古賀 康誠投手(3年)の立ち上がりが不安なこと。リズム良く、精度の高い変化球を低めに集めることができるか。やはり6、7回前後でリリーフエースの仲井 慎内野手(3年)につなぐことができるか。

 ここまでの戦いを振り返ると、前半、後半までのゲームプランを描きやすいのは、きっちりとした投手リレーができている下関国際だといえる。ただ、近江には山田という主人公気質を持った選手がいる。こういう選手がいると、他の選手達も山田の気迫あふれるパフォーマンスに乗せられて驚くようなパフォーマンスを見せる。どの試合でも山田以外の日替わりヒーローが現れる。準決勝ではどの選手が脚光を浴びるのか。

 自分たちのペースで試合運びを見せたい下関国際。どんな場面でも動じずに勢いに乗った試合運びで決勝進出したい近江。5点前後の勝負が見込まれ、激しい試合展開になると、野球で最も面白いといわれるルーズベルトゲーム(8対7)も期待できる。

【各投手の球数】
★近江
山田 陽翔投手
15日 3回戦:海星(長崎) 114球
18日 準々決勝:高松商(香川) 136球

星野 世那投手
15日 3回戦:海星(長崎) 37球
18日 準々決勝:高松商(香川)33球

★下関国際
古賀 康誠投手
16日 3回戦:浜田戦(島根) 82球
18日 準々決勝:大阪桐蔭(大阪)127球

仲井 慎投手
16日 3回戦:浜田戦(島根) 52球
18日 準々決勝:大阪桐蔭(大阪)49球

松尾 勇汰投手
16日 3回戦:浜田戦(島根)16球

(文=河嶋 宗一)