【ニューヨークからお届けします】

 アメリカの医療機関で、高齢者に対するエイジズム(年齢差別)が問題になっています。

 日本ではあまりなじみがない言葉かもしれませんが、エイジズムはレイシズム(人種差別)などと共に人権侵害のひとつです。

 例えば、高齢者の患者に対し大声で話しかける。高齢者は全員聴覚に問題があると思い込んでいるからです。

 また医師は患者ではなくその家族に話しかけ、患者を自由意志がある個人として扱わない。時にはまるで小さな子供のように扱う。症状を訴えると、それは年齢から来るものだと決めつける……。

 このようなエイジズムからくる偏見により、適切な治療が受けられないだけでなく、心を傷つけられる場合も少なくないと専門家は指摘します。

 その背景には、高齢者を個人ではなく、自分たちとは違う「1つの大きな集団」として見る傾向があります。当然あるべき個人差はそこでは無視されてしまいます。

 結果、若い個人と比較して能力や価値が低い、尊厳に値しないと見なされるなど、高齢者は非人間化されていきます。

 日本でよく聞かれる「老害」という言葉は、使い方によっては、高齢者は全員害がある存在というニュアンスを含んでしまっているかもしれません。

 アメリカでも急速に高齢化が進む中、現状では遅れている高齢者に特化した医療教育を、もっと充実させることが必要と専門家は指摘しています。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)