栄養たっぷりなシジミのみそ汁。会食など外食先で提供されることがありますが、貝殻からひと粒ずつシジミの中身を取り出して食べるのは「マナー違反」だと、食べない人もいるようです。実際のところはどうなのでしょうか。4月23日は、語呂合わせから「シジミの日」。記念日にちなみ、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

シジミの「食べ方」でマナー違反になることも

 結論からいうと、みそ汁のシジミを食べなくても、貝殻から取って食べてもマナー違反にはなりません。ただし、その食べ方によってはマナーを問われることがあります。自宅で食べる際は気にすることもないと思いますが、外食先や会食での席など、ほかに相手がいる場では次の2つをしないよう心がけておくと良いでしょう。

○無理に箸で食べようとして汁をこぼす
 箸だけでシジミの身を殻からはがそうとすると、カチャカチャと音を立てることになったり、みそ汁をこぼしてしまったりすることがあります。一度椀を置いて、片方の指先でシジミの殻をそっと支えてから、身を箸で取って食べるのがスマートでしょう。もちろん手で殻を口にもっていって、シジミの身を食べるのはマナー違反です。

○食べ終わったシジミの殻を椀から出す
 置くのはマナー違反になるので避けましょう。殻は椀の外には出さず、そのまま椀の中に戻すのがマナーです。

 シジミの身が小さい場合は食べにくいので、そのときどきによって判断しましょう。

栄養メリットを摂取するなら食べたほうが良い

 シジミは身が小さな二枚貝ですが、栄養は豊富です。人の体の構成に欠かせないたんぱく質をはじめ、造血やDNAの合成に関わるビタミンB12、免疫機能の維持に必要な亜鉛、貧血予防の鉄、強い骨を作るカルシウムやマグネシウムなどが含まれています。

 そして、なにより代表的な栄養素として知られるのがオルニチンです。肝機能の働きをサポートして、アルコールの分解をスムーズにすることが期待されています。

 しかも、みそ汁の具材にすることで、アルコールの利尿作用によって不足した水分や塩分などのミネラルを補えるので、春の行楽シーズンで飲酒の機会が増えている人にシジミのみそ汁はとくにおすすめです。分解を助けるので、二日酔いのタイミングではなくお酒を飲む前か、一緒に飲むほうが良いでしょう。

 みそ汁にしたシジミの栄養価について、日本食品標準成分表2020年版(八訂)の「水煮のシジミ」のデータをもとに紹介します。大きさはさまざまですが、シジミ1個を約3グラムとして、10個(約30グラム)の場合でみていきましょう(廃棄率80%、可食部重量6グラムとして計算)。

たんぱく質  0.9グラム
カルシウム  15ミリグラム
鉄      0.9ミリグラム
ビタミンB12  4.9マイクログラム
亜鉛     0.2ミリグラム
マグネシウム 0.6ミリグラム

 旨味成分だけを味わうのではもったいないです。みそ汁の具となったシジミの身にも栄養価はあります。殻から取り出すのが面倒かもしれませんが、シジミのみそ汁は汁も身も食べると良いでしょう。

Hint-Pot編集部