巣立ちの時期を待つ3羽のイワツバメの雛。そのときがなかなか訪れず、巣から外の様子をうかがう姿がX(ツイッター)で話題になっています。ふくふくとしたシルエットがとても愛らしく、12万件の“いいね”が集まりました。その後、巣立つことはできたのでしょうか。投稿者のみかりんななな(@mikarinnanana)さんに詳しいお話を伺いました。

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天候に恵まれず…巣立ちのタイミングを見計らう3羽の雛

「だんご3兄弟みたいになっていた 強風につき巣立たず」

 そんなひと言とともに今月4日、かわいらしいイワツバメの雛の写真がXに投稿されました。イワツバメとは、日本で見られる5種のツバメ類のなかの一種。小柄で、黒と白のツートーンカラーが特徴です。ツバメといえば、尾が長く2つに分かれていますが、イワツバメの尾はとても短く、扇のような形をしています。

 そんなイワツバメの雛3羽が、ぎゅっと並んで巣の中から顔を出し、外の様子を見ています。丸い頭とつぶらな瞳がとても愛らしく、ふっくらとした姿からは、母鳥からしっかりと愛情を注がれていることが見て取れます。

 ただ、巣から旅立つのはまだ少し不安そうな様子。3羽で身を寄せ合いながら、慎重にそのタイミングをうかがっているようです。

 この写真はたちまち注目を集め、なんと12万件の“いいね”が。リプライ(返信)には「まだお外を知らない目をしていますね」「これはヤバイ!! かわいい!!!」「2、3週間で巣立つのかな?」「ちゃんと表情に三様の個性を感じる」「無事に巣立ってほしいです」など、さまざまな声が寄せられています。

今月6日に無事3羽で巣立ち 親鳥が促す姿も

 投稿者のみかりんなななさんは、営巣中の巣が故意に壊され、雛が遺棄される「捨て雛」の存在を知りました。そこで、何か自分にできることはないかと考え、神奈川県野鳥リハビリテーターの講習を受講。現在は、捨て雛されて行き場を失った鳥の預かりボランティアを行っています。

 話題になったのは、ある施設の1階に作られたイワツバメの巣です。みかりんなななさんは写真で成長記録をつけ、その様子を見守っていました。

 一般的に、ツバメ類は孵化してから20日ほどで巣立つといわれていますが、悪天候が続いたこともあり、3羽は何日経ってもなかなか巣立てずにいたそう。また、話題になった写真が撮影される前日まで、最後に孵化したと思しき末っ子の雛がなかなか巣から顔を出さず、それまで姿を確認できていたのは2羽だけでした。

 やっと3羽そろった姿が確認できてからは、末っ子も活発になり、親鳥が巣立ちを促す様子も見られるように。そして今月6日に無事、3羽はともに巣立ちました。

ツバメの巣を観察し始めて1か月 厳しい状況も目の当たりに

 みかりんなななさんが、イワツバメが営巣した場所を観察し始めてから約1か月。その間に雛を確認したのは、巣立った3羽だけではありません。なかには悲しい結末を迎えてしまったケースも。

 生後2日ほどで亡くなり巣の下に落とされていた雛や、カラスに襲われたあとの様子など、痛ましい光景も目の当たりにしました。「自然のことと頭でわかっていても、見慣れることはありません」と当時の状況を振り返ります。

 雛が孵った様子はとても微笑ましく、巣から落ちているのを見ると放っておけない気持ちになります。しかし、それは自然の摂理で、落ちているように見えて巣立ちの練習の場合がほとんど。みかりんなななさんは、「人間が介入するべきことではない」といいます。

「巣立ち雛は拾わない。そして、何かある場合の保護の可否は冷静に。かわいそうという気持ちだけで保護しないようにしてほしいです。ただし、道路付近などの危険な場所にいる場合は、その近くの安全な場所に移動していただけたらと思います」

 また、むやみに巣の様子を撮影すると、親鳥が営巣を放棄することも。「撮影するときは巣に近づきすぎないように注意して、離れた場所から短時間で行うようにしてほしいです。また、珍しい野鳥の営巣は撮影せず、情報を聞いても現場には行かないようお願いいたします」と注意を促しています。

 雛が孵る時期には、巣が壊されたり雛が遺棄されたりするなど、悲しいニュースを目にすることもあります。こうした事態が一件でも減るように、ボランティア活動を行っているみかりんなななさん。「今年もSNSで、たくさんの捨て雛の写真を目にしました。事故でけがをしている、捨て雛などの人災と確認できる野鳥を保護した場合は、指定病院へ行き、行政へ必ず届け出てください」と呼びかけています。

Hint-Pot編集部