画像は起工式が中止となった新サッカースタジアム建設予定地

 

 

広島市が広島市中区の中央公園広場に建設するサッカースタジアムのピッチとなる場所で開催されるはずだった起工式は、新型コロナウイルス感染拡大のため中止になった。

 

1月26日の起工式開催に向け、関係者の間で準備が進められていたが1月21日、建設・設計を担当する大成建設中国支社など8社で構成される共同企業体(JV)が中止を発表した。式には広島市の松井一実市長、湯崎英彦知事の参加も予定されていた。起工式の代わりにJVの関係者のみで安全祈願を行う。

 

 

1月26日に広島市内である安全祈願は「密」を避けるため非公式となる。メディアの取材もない。迷走に迷走を重ね、やっとこぎ着けた待望の起工式。設計・施工者にとっても、広島にスポーツと平和の象徴となる新たな舞台装置を生み出すための大事なセレモニー。本来なら盛大にやってその志を改めて確認し、みんなでよし!っとなるはずだったはずだが残念な結果になった。

 

 

大規模公共工事における起工式の中止…。あまり聞いたことがない。それだけ異常事態ということなのだろう。

 

 

すでにひろスポ!では記事にしたが、平和都市広島にとっての1月26日は特別な日だ。

 

 

どうしてこんなことになったのか?先に結論を言うと広島市の松井市長と湯崎知事のツートップが新スタジアム建設を巡り、大多数の声が旧広島市民球場跡地への建設を望んでいたにも関わらず、それぞれの事情で意図的に旧広島市民球場跡地を避け、ふたり揃って広島みなと公園を猛烈にプッシュしたからだ。

 

 

それが国から出されたレッドカードでとん挫すると、当時の広島商工会議所の深山会頭のアシストで、建設場所を中央公園とした。(この件に関しては、ひろスポ!、広島みなと公園、空中分解、オウンゴール、旧広島市民球場跡地、久保会長、ほかのキーワードを入力すればネットで多数の記事を閲覧することができる)

 

 

結果、「寝耳に水」と猛反対の声を上げた基町地区住民に納得してもらうために、さらに空転期間が生まれた。そうこうしているうちに広島よりずっと後になってスタジアム建設の声を上げた北九州市や吹田市ほかではJリーグ対応の専用スタジアムが次々に誕生した。

 

 

まだある。広島市と並行してスタジアム建設を目指している長崎市の新スタジアムプランはその青写真が明らかになるにつれてその全体像に関しては広島<長崎というイメージが膨らみつつある。もちろん両者のバックグラウンドに大きな違いがあり一概にどちらが優れている、などと評する必要はないが、最終的には地元の人たちや県民、サッカーフリークたちの満足度がどうか?その視点のみが新たな舞台を評価するための尺度となり、広島、長崎ともに新スタジアムと複合施設が使われるようになった際にはっきりする。

 

 

1月25日付の中国新聞は「広島県、43億円負担へ」「サカスタ事業費広島市と同額」の見出しで、広島市が新スタジアム建設費に関して、これまで通り県にも同額負担を求める方針を固めた、と報じた。県議会には「1対1負担」に対する反対意見が根強く、松井市長と湯崎知事が広島みなと公園案成就に向け“共闘”していた頃の姿とは“隔世の感”がある。

 

 

県政に詳しいメディアや関係者からは「県は宇品(広島みなと公園案)の一件を根に持っているからなかなかウンとは言わない」と呆れ顔だ。

 

 

ただ「43億円」“だけ”で負担が済むかどうか?現時点では甚だ怪しい、と思っていた方がよくはないか?長らくスタジアム問題を取材してきたが、最速ならカープがマツダスタジアムに本拠地を移した2009年春の時点で、新スタジアム着工は可能だった。

 

 

その当時と2000年台では建設費が比べ物にならないほど高騰してしまった。さらに2021年末の時点でセメント業界だけ見ても大手3社が相次いで価格引き上げを発表した。サプライチェーンの世界的な変化が建設コストだけでなく工期においてもマイナス材料となっているのは周知の通りだ。

 

 

それもこれも含めて、我々の手で素晴らしいスタジアムを!と意気上がるはずだった起工式。その中止に関して松井市長と湯崎知事は何のコメントもリリースしていないが、新スタジアム問題に関してのちの広島の人たちにいろいろと思い出してもらうためにこの場に松井市長と湯崎知事の責任重大、と明記しておく。(ひろスタ特命取材班)