画像は9月16日に広島市内で開催された「11月に開催されるワールドカップサッカーを広島で盛り上げよう!!」プロモーションイベントで手描きメッセージを手にする少年

 

カタールW杯の風、広島へ−

 

FIFAランキング24位の日本が同14位の米国に2−0で勝った。ドイツのデュッセルドルフにあるデュッセルドルフ・アレーナで9月23日にあった国際親善試合、キリンチャレンジカップ2022での話、だ。

 

ところでドイツ(正式にはドイツ連邦共和国)は16の州(Land・ラント)によって構成される。市単独でラントを構成する特別市(都市州)がベルリンとハンブルク。ラント最大の人口を誇るノルトライン・ヴェストファーレン州の州都がデュッセルドルフで約64万人が住み、在住日本人そのうちの1パーセント以上、8000〜9000人に上るという。

 

 

日本の教科書にも出てくるドイツのルール工業地帯に近いことが1950年代以降、この都市をヨーロッパ最大の日本企業集積地に変えた。デュッセルドルフの中央駅から伸びるインマーマン通りには、日本企業の事務所が並び、日本語表記が溢れ、ラーメン店ほか日本食には困らない。

 

 

日本とドイツ(中央ヨーロッパ夏時間)の時差は7時間。日本−米国戦は現地時間の午後2時25分(日本時間の午後9時25分)キックオフでデュッセルドルフ・アレーナには子どもたちも含めて大勢の日本人がスタンドから声援を送った。ドイツの“コロナ事情”は日本とはすでに大きく違ってきており、屋内店舗や公共交通機関などを除き、マスク着用の必要はないから応援も遣り甲斐がある。

 

 

試合後、インタビューマイクの前に立った森保一監督は、いつも以上に明るい表情のようにも見えた。そして次のように話した。

 

「選手たちがこのアメリカ戦に向けて、そしてワールドカップを見据えて、戦い方を整理してくれていい準備してくれてハードワークしてくれました」

 

−同じくワールドカップ出場のアメリカに2得点、攻撃の成果は?

 

「勝ったことは勝負ごとなんで大切ですけど、内容的にも選手たちがやろうとすることを意思統一しながら、うまくいかないことももちろん試合の中でありましたけど、そこをしのいでいろんな修正を加えてくれながら戦えたことはまず良かったと思います」

 

−ワールドカップまで2カ月、きょうは早目にサイドの選手を交代させましたけど改めてスタメン争い、メンバー争いはどのようにご覧になっていますか。

 

「そうですね、メンバー争いは常に、ワールドカップに向けてだけではなくて起こっていることなので選手たちは自然に捉えていると思いますし、それだけいい選手が多いということをポジティブに捉えていきたいと思います。インテンシティ(プレーの強度)高く戦わないといけないので、交代枠を使いながらしっかり勝っていけるように、11人だけで勝つのではなくて、交代も含めて、ベンチも含めて勝っていくということをきょう選手たちがやってくれたと思います」

 

−改めてスタジアムに駆け付けてくださった皆様、日本から応援してくれているサポーターのみなさんにひと言。

 

「本当に嬉しいですね。ここデュッセルドルフ在住の方々を始めとするヨーロッパにいる人たちがこうして集まってきて応援してくれてると。日本でもメディアのみなさんを通してほんとにたくさんの方が応援してくださっていることが我々の力になりましたし、この勝利を届けられて喜んでもらえたことが何より嬉しいです」

 

 

最後はいつもの森保スマイルになっていた。言い方は悪いが、本番までちょうど2カ月となり、死ぬような思いの中に引きずりこまれていくはずの指揮官のイメージとはだいぶん違う。

 

 

それが森保という人物の底力、でもある。

 

 

そして、SAMURAI BLUE密着の各メディア担当者は、中継カメラに向かっていつのような流れになったこの日の指揮官の言葉の、その隅々に宿っている“夢”や“願い”や“強い意思”を、改めてきっちり抑えておく必要があるのではなかろうか。

 

 

例えば「メンバー争いは常に、ワールドカップに向けてだけではなくて起こっていることなので…」と、さらっと口にしているのではあるが「ワールドカップに向けて」やっている中での話なのになぜそんな言い回しになるのか?そこにはどんな思いが込められているのか…

 

 

メンバー選考の過程はこれまで同様、この先も常に批判的な報道が飛び交うはずで、何を書こうが書き手の自由。ただし「それだけいい選手が多いということをポジティブに捉えていきたいと思います」という言葉の深い部分に何が埋まっているのか、それを掘り下げる作業は仮に批判的なスタンスであっても端折るべきでないだろう。

 

 

試合が遅い時間に終わったこともあってか、スポーツ各紙などの米国戦における森保ジャパンの戦いぶりは今回、概ねシンプルかつ好意的に報じられていた。その中でのキーワードは「W杯仕様の新戦術」「4−5−1システム」ということらしいが、見た目は「新」でも、おそらく代表スタッフたちがずっと準備してきたオプションの中のひとつ、というだけの話ではなかろうか?

 

 

繰り返しになるが2度のW杯優勝を誇るドイツとの本大会初戦まであと2カ月。9月27日には同じくデュッセルドルフ・アレーナでエクアドル代表戦に臨み、その後、森保監督は26人の登録メンバー選定作業を終えることになる。

 

 

一方、日本サッカー協会(JFA)では、本番までの大事な時間を有意義かつ確固たるものにしてW杯の舞台で日本サッカーが大きく花開くことを願い、SAMURAI BLUE応援プロジェクト「新しい景色を2022」を9月に本格始動させた。

 

 

「新しい景色を 2022」は、SAMURAI BLUEの「新しい景色」=カタールW杯ベスト8以上、への挑戦を日本中の力を集結し、応援で後押しするプロジェクトだ。「ファン・サポーター、スポンサー各社、47都道府県サッカー協会、地方自治体、放送局と共にサッカーとのつながりを創出し、応援熱を醸成し、チームに届けること。また、選手のプレー、挑戦する姿による感動体験が多くの人が夢や希望を持つきっかけになることを目指し取り組んでいきます」とJFAホームページに明記してある。

 

 

日本サッカー協会の田嶋幸三会長が「11月に開催されるワールドカップサッカーを広島で盛り上げよう!!」というプロモーションイベントのため、森保一監督の第2の故郷、広島を訪れたのは9月16日のことだった。田嶋会長は、「森保監督を始め、代表スタッフはほとんどサンフレですから…」と広島県の湯崎英彦知事に頭を下げ!?、会見では改めてW杯ベスト以上へ向け森保一監督を全面的に支援する、と約束した。この項つづく
(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)