画像はスペイン戦勝利のあとのハリファ国際競技場、夢のアミューズメントパークのよう…

 

 

W杯サッカーカタール2022第11日 1次リーグE組(12月1日、ドーハ・ハリファ国際競技場)

 

 

ドーハの歓喜、再び!同じハリファ国際競技場でドイツを倒した日本がスペイン相手にまた先制されながら後半に2点を取って歴史を塗り替えた。

 

日本初、アジア勢初の2大会連続決勝トーナメント進出、そして「新しい景色」まであと1勝。その決勝トーナメント初戦の相手は、”あのベルギー”をこの日、0−0で封じて勝ち上がってきた前回大会優勝のクロアチアに決まった。

 

それにしても…

 

やはり、あの話は本当だった…

 

森保一監督から聞かされた、日本代表のスタッフ、選手たちが見るべき同じ絵、同じ思考回路。

 

同時スタートのドイツ−コスタリカも死闘になった。前半10分ドイツ先制。先制された日本は0−1で折り返し、この時点での勝ち点は…

 

スペイン7
ドイツ4
日本3
コスタリカ3

 

1点を追いかける展開になっても冷静にベンチ前で”意見交換”を続けていた森保一監督と横内昭展コーチは、ハーフタイムで用意していたカード2枚を切る。

 

久保建英から堂安律、長友佑都から三苫薫。

 

そして後半3分、堂安律の強烈ミドルが、素早く反応したGKウナイ・シモンの両手を弾きゴールネットへ!

 

コスタリカに一発でトドメを指された日本は、逆に一発でピッチの空気を180度ひっくり返した。湧き上がる日本サポーター。

 

この状況での勝ち点は…

 

スペイン5
日本4
ドイツ4
コスタリカ3

 

日本はドイツと得失点差でも総得点でも並んだ状態で直接対決勝利のため2位、ドイツが仮に追加点を取れば日本は3位後退…

 

そして後半6分…

 

田中碧からボックス右へ侵入した堂安律へつなぎ、すかさずファーサイドへのグラウンダー!

 

相手GKと飛び込む前田大然の間を抜けたボールに対して三苫薫が左足を伸ばしてインサイドで折り返すが、まさにゴールラインぎりぎり…

 

これを田中碧が相手DFと競り合うように詰めて押し込んだ…

 

微妙すぎるライン判定は?VARを経て、ゴール!!!

 

勝ち越した日本はすかさず前半から走り続けた前田大然に代えて浅野拓磨を投入、23分には鎌田大地に代えて冨安健洋が最終ライン右へ入り、右ウイングバック伊東純也がシャドーのポジションへ…

 

一方、ドイツは後半13分、1−1に追いつかれ、さらに25分には1−2、28分には2−2…

 

時間の経過とともに深い位置でブロックを敷く日本はスペインのパスワークからの攻撃を跳ね返し、ドイツ戦と同じ7分のアディショナルタイムも耐えてホイッスル。無敵艦隊撃破の喜びがピッチとスタンドで爆発した。

 

前回ロシア大会で日本がベスト16の壁に跳ね返され、西野朗監督から4年後を託された森保一監督。そのあと、ひろスポ!W杯取材班は広島市内で1時間近く日本代表の進むべき道について話を聞く機会があった。

 

そこでテーマとされたのが「日本人の良さを生かした戦い」イコール組織力、そして世界と互角に渡り合うための「個の力の大切さ」さらには「チームのためにどれだけやれるか」イコール献身のスピリット。

 

それは正に無名のミッドフィールダーからオフトジャパンで代表ユニホームに袖を通した森保一監督の生きざまそのもの。考え方、人間性がそのまま代表メンバーのひとつ、ひとつのプレー。

 

7月、広島市内で「サッカー日本代表森保一監督を激励する会」が開催された際にも少し話を聞くことができたが、大筋は一緒。ただし相手が決まっているから、より具体的な内容だった。

 

8強以上を目指すなら、どの道当たるドイツ、スペイン相手にも互角に戦う、その「準備」はできているので、あとは「ラインギリギリのボールにどれだけ歯を食いしばって飛び込んでいけるか…」が大切なのだ、と…

 

そのまんまの90分が展開されたスペイン戦のあとの選手インタビュー、「あれ、やっていいですか?小さな声で言うので…」と前置きして絶叫した長友佑都の「ブラボー」にはいろいろな思いが詰まっていたはずだ。アジア最終予選中、森保一監督と共にメディアからもサポーターからも、SNSでも徹底的に叩かれてきた。

 

最終予選で崖っぷちから生還したように、この日もコスタリカ戦から中3日のピッチに立ち、前半は最少失点で乗り切った。そして交代選手の三苫薫がそのまま森保一監督の”訓え”を体現する流れになった。

 

偶然ではなく必然。

 

代表メンバーもサポーターも、そして日本で応援する人たちも、知らないうちにSAMURAI BLUEの絶叫マシンに乗り込んでいたことにならないか?

 

 

絶望的な景色の中、浅野拓磨の一撃から猛反撃に転じたアジア最終予選、本大会に入ってもドイツから勝ち点3のあと、コスタリカ戦でまた崖っぷち。

 

しかし森保一監督は、常人ならひっくり返ってしまいそうなスペイン戦までの3日間の終わりに「この状況を幸せに思う」と大勢のメディアの前でコメントした。

 

きっとこの日ピッチに立った、そしてベンチに入った全員も同じ気持ちだったのだろう。勝てば文句なしのベスト16。確かに分かりやすい状況ではあった。ただし負けたら終わり。

 

「日本サッカーの未来のために、自分がどれだけいい形で次の代表に引き継ぐことができるか?」

 

五輪代表監督就任以来、それのみを考え続けている指揮官が、怪しげな?ジェットコースターの一番前の席に座っている。

 

ハンドルがない乗り物だから前に進むだけ。ただし目を瞑っているだけでは、新しい景色はぜんぜん見えてこない。

 

責任者が搭乗者に言って聞かせることができるのは、乗る際の心得のみ。

 

始めのうち、いろいろ言いたいこともあったであろう選手たちも、やがてスリル満点の状況に適応して「死の組」と呼ばれる豪快すぎる上下動にさえ魅了されつつあるのかも…

 

それと同様に、日本国民も、文句ばかり言ってきた代表に精通したライターやコメンテーターたちも…

 

4年前、悪夢のベルギー戦カウンターに沈んだ吉田麻也も、試合後の第一声は「これだから代表やめられないですね」だった。

 

ひろスポ!は前回記事の中で「かすれ声の指揮官がピッチに立つ時はきっと何かが起こるはず。FIFAランキング7位の強敵とのキックオフまでに我々にできることは、信じること…」と書いておいた。

 

それが我々が応援してきた、今西和男氏とハンス・オフト氏によって広島で第2のサッカー人生を送り、代表の舞台へ活躍の場を変えても「野心」を持ち続ける絶叫マシンポイチ号…(ひろスポ!W杯取材班&平岡誠治・田辺一球)

W杯カタール大会取材協力:たきのぼり不動産(広島市中区八丁堀12-15)