画像は広島から現地の森保監督に声援を送る広島市西区横川町にある「BAR GAJA」の店内掲示板

 

 

日本中の、いや世界の目がSAMURAI BLUEに注がれるようになった。ワールドカップが始まって2週間足らずで天と地がひっくり返ったような大騒ぎ。現地では日本−クロアチアのチケットが大人気だという。4万人収容のアル・ジャヌーブスタジアムは12月5日午後6時(日本時間6日午前0時)のキックオフ時には満員になっているのだろう。

 

 

森保一監督の“続投”や“デスノート”から日本、クロアチア両国代表選手のサイドネタまで、連日の報道合戦(死語?)で“本番”を前に話は出尽くした感がある。

 

 

ただ毎日、買って重ねてきた新聞を見直してみると、かなりいい加減?な記事も散見される。

 

 

例えば日刊スポーツはコスタリカに敗れたことを受け、12月2日の紙面で「代表監督選び長期化」の大見出し。ところが3日の一面には「森保監督続投加速」と平気で?打っている。結果に応じて、というなら誰でも「デスク」や「整理部」で活躍できることになる?

 

 

逆に一貫して論調が変わらないケースもある。田中 マルクス 闘莉王氏は「王闘莉王TV」やテレビ、新聞などマルチ媒体で活躍して、多くの支持を集めているコメンテーターのひとり。そして森保采配に関しては「苦言」の連続となっている。

 

 

闘莉王氏がサンフレッチェ広島時代に現役時代の森保監督とかぶったのは2001年シーズンだけ。されど1年。「規律」を重んじる森保監督と、DFながらリーグ戦通算104ゴールの闘莉王氏が“合わない”のは外野から(サッカーだけど…)でも分かる。(なお、ひろスポ!W杯取材班は当時もサンフレッチェ広島の練習場へ足しげく通っている)各メディアには、このあたりの話もきっちり抑えてもらいたい気がしないでもない。

 

 

玉石混交の報道合戦(!!)の中で、正鵠を射た紙面を“発見”した。11月24日付の朝日新聞だ。2−1でドイツを撃破した記事下に「育成に定評大学サッカー躍進」「今大会代表に三苫・伊東ら9人輩出」の見出し。記事では「森保監督が大学の試合をよく見に来た」という関係者の言葉も紹介されている。

 

 

実際に森保監督は地方も含めて大学サッカーをよく視察してきた。

 

 

話は逸れるかも?だがサンフレッチェ広島をクビになった森保監督は、日本サッカー協会元副会長で現在は広島県サッカー協会最高顧問の野村尊敬氏の“推薦状”を受けた田嶋幸三会長によって五輪代表監督、フル代表監督の道を歩んできた。

 

 

田嶋会長は筑波大出身。どの組織にも学閥があるが森保監督はニュートラル。そして高卒Jリーガー出身者が日本サッカーを引っ張っていく新時代へ突入した。

 

 

すでに出尽くされた話であり、きょう12月5日の広島ローカルニュースでも紹介されていたが森保監督に「人の話を聞き、考え、自分の言葉で書き話し、サッカーノートをつける」習慣を刷り込んだのは筑波大の前身、東京教育大学出身の今西和男氏だ。

 

 

森保監督は10代でそのメソッドを学び、25歳の時にはオフトジャパンの一員としてドーハに入った。

 

 

この時、森保監督と同部屋だった松永成立氏はずいぶんあとになってスポーツ紙の取材に「森保はあの時、部屋で英語の勉強をしていた」と語っている。「学び」は時間と場所を選ばない。超高層ビルが林立し、緑広がる今の都市風景とは別世界だったあの当時、灼熱の街で宿舎と練習会場、スタジアムを行き来しながらアメリカ本大会を目指す日々。だから「英語」も必須だった。

 

 

結論から言えば、今回、ドーハの悲劇を歓喜に替えた26人は、いずれも自分の言葉や考えを持ち、サッカーのため、チームのためにやるべきことをそれぞれの方法で日々、追求できる自律型となっている。1ミリの奇跡を現実に替えた三苫薫と田中碧のふたりはその最たる例だろう。

 

 

中には干されかけた時期もありながら、もう一段二段と気持ちを入れ直して今がある、という選手もいるだろう。本選までの起用のされ方を見ていれば、そういう傾向は確実に見てとれる。

 

 

森保監督には「野心」を「現実」に変える「眼力」がある。その「眼力」が選手にも向けられる。「なんで今この選手を起用しない」とか逆に「何でこの選手にこだわる」みたいな報道は日常茶飯事だが、それも「今」だけを見るなら誰にでも言えること。いかに先に繋がる選手起用ができるか?それが指揮官。それができないなら、もし話が戦場であれば部隊は即、壊滅するだろう。

 

 

7月、広島市内で「サッカー日本代表森保一監督を激励する会」が開催された際に森保監督は「ベスト8」を明言したが、同時に「ドイツ、スペインとも互角に戦う準備はできる」「日本サッカーの未来のために、できる限りいい形で次にバトンを渡したい」とその先の4強、2強さえ狙っていそうな口ぶりだった。

 

 

それを1対1の状況で聞かされたひろスポ!W杯取材班は、その時点では半信半疑だったが、その後関係者に会うたびに「森保監督、こんな勇ましいこと言ってます…そうなるかも…」とは伝えるようにしていた。

 

 

9月には田嶋会長が広島県サッカー協会主催の「ワールドカップサッカーを広島で盛り上げよう!!」プロモーションイベントに足を運び「我々も”2005年宣言”でワールドカップで優勝したいと言っている以上、優勝経験のあるドイツ、スペインと同じ組で公式戦を戦える、こんなラッキーはないと我々そういう気持ちでおります」と語ってダメを押し、結果、そのとおりになったのである。

 

 

それもこれもあっての1次予選突破から中2日。クロアチア戦を翌日に控えた公式会見で長友佑都が「明日は最高の試合と最高の結果を得られるように。そして、日本サッカーの歴史に黄金の1ページを刻むと、その意気込みで必ず勝ちたい」と”ブラボー”に続く”黄金の1ページ”を口にした。

 

 

続いて森保監督は「毎回選手のコメント力が素晴らしく、しゃべることが難しいが、私らしく堅く行きたい」と話し、海外記者が大勢押しかけた会見場を沸かせた。

 

 

だが、ここでただ笑って流していては森保流の「野心」の真実にはいつまでたっても辿りつけない。

 

 

今大会で連日紙面を飾る日本代表メンバーのコメントはどれも傑出している。それにみんな気付いているのだろうか?

 

 

なぜそうか?

 

 

「日本人の良さ」イコール「組織力」イコールそれを最大限に引き出すための「考える力」を有するメンバーを選考の条件に掲げる森保監督の「眼力」に叶った面々が集い、そして試合のたびに成長していくその姿を、中にいるひとりひとりが適格に受け止める、この”ブラボー回路”があってこその森保ジャパン、ということになるのである。(ひろスポ!W杯取材班&平岡誠治・田辺一球)

W杯カタール大会取材協力:たきのぼり不動産(広島市中区八丁堀12-15)