画像は広陵の中井監督



広陵(広島)は3月28日の第2試合で専大松戸(千葉)とベスト4を懸けて対戦する。

 

 

広陵の第95回センバツ、初戦と第2戦を振り返る。

 

 

3月20日

 

センバツV好捕、ヘビー級の撃ち合いで広陵、二松学舎大付に”KO勝ち”

 

第95回記念選抜高等学校野球大会第3日(3月20日)
2
回戦
広陵5−0二松学舎大付

 

昨秋の神宮大会準優勝の広陵は6位タイとなる2年連続26度目の出場となったセンバツの初戦で、4季連続出場の二松学舎大付を5対0のスコアで押し切った。

 

 

打っては12安打、走っては2盗塁、守っては主将でショートの小林隼翔(3年)のナイスフィールディングが光り、投げては完封リレーだった。

 

 

敗れた二松学舎大付の市原勝人監督は「相手のピッチャーがすごく良くて完敗です。チャンスは作るんだけどもチャンスの場面で相手投手にギアを上げられて1本が出なかった」と振り返った。

 

 

堂々たる体躯の選手が揃う二松学舎大府にはあの鈴木誠也2世が何人いてもおかしくなさうなほどの強打者揃い、要するにヘビー級…

 

 

ポイントに挙げたのは二回、エラーと四球から築いた一死二、三塁の場面。「あそこであと1本出ていれば流れも変わってピッチャーも息を吹き返していたかも…」と悔やんだ。

 

 

逆に初回、無安打で1点を先制した広陵はこのピンチをわずか7球で乗り切った。

 

 

先発した高尾響(2年)はその後も三回の二死一、二塁、四回の二死二、三塁をクリア!相手が今大会注目の2年生スラッガー片井海斗であろうが180センチ100キロの四番、五十嵐将斗(2年)であろうが只石貫太(2年)のサインにうなづき真っ向勝負した。

 

 

広陵打線がヘビー級パンチの応酬で貴重な中押ししたのは五回。

 

 

球数が70球を越えた二松学舎大付先発の重川創思を捉え、3本の二塁打とシングル1本の集中砲火。一番田上夏衣(3年)、三番真鍋慧(3年)、四番小林隼翔、五番只石貫太が快音を響かせながらフェアゾーンに弾き返して3者連続タイムリーで3点追加。

 

 

この時、おそらく二松学舎付バッテリーは事前打ち合わせ通りに投げていたはずだ。内角への力のある球で勝負!そこを見透かしたかのように若いカウントから見事にさばきまくるのが今の広陵打線。

 

 

その中で「超高校級」の真鍋慧はつなぎに徹する逆方向への左前打。これをやられると相手ベンチも手の打ちようがないだろう。(真鍋はこの日、5打席4打数3安打1四球で打点1+1失策)

 

 

その裏、五回のマウンドでも一死二塁から片井海斗をインロー真っすぐで見逃し三振に、五十嵐将斗をインスラで三ゴロに仕留めた高尾響はさらに粘りのピッチング。

 

六回の無死一塁、七回の二死二塁、八回の二死一塁も抑えて、二松学舎大付はついに10残塁となった。

 

昨秋の公式戦をことごとく継投で制してきた広陵は八回の加点で5点リードの九回、10番の大内啓輔(2年)を投入。結果は1四球無安打投球だった。

 

 

広陵はこれで大会通算40勝。1990年から指揮を執る中井哲之監督にとっては春夏通じて35勝目。「(打つ方は)本人たちに任せていたので、甘い球は思い切り行けと。特に左バッターにインコースを攻められていたんですけど、構わず思い切っていけとそういう形でした」と“あってないような”手の内を明かしたのであった。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)

 

 

3月27日

 

エース高尾155球の広陵、自慢の打線速射で海星(長崎)振り切りベスト8

 

 

第95回記念選抜高等学校野球大会第8日(3月27日)
3回戦
広陵(広島)3−2海星(長崎)

 

広陵スタメン(学年。投打)
センター田上夏衣(3年)右左
サード谷本颯太(3年)右左
ファースト真鍋慧(3年)右左
ショート小林隼翔(3年)右右
キャッチャー只石貫太(2年)右右
ライト田村夏芽(2年)右左
レフト中尾湊(3年)右左
ピッチャー高尾日響(2年)右右
セカンド松下水音(3年)右左

 

広島と長崎の選抜校が、コロナ規制緩和が実現した甲子園で激突した。

 

今の世界情勢を想えば意義深いこと、だ。

 

広陵は初戦で二松学舎大付とのヘビー級の撃ち合いを制した勢いで接戦をモノにした。

 

試合後、中井哲之監督は155球完投した高尾響の”奮投”を称え、3年生が五回までで毎回走者を背負いながら99球の右腕エースを支えたと褒めた。

 

4度目のセンバツ優勝を目指す広陵を率いる中井監督は自身、1991年と2003年に春を見事に制している。

 

それでもさらにその頂を目指す。

 

試合前には接戦になる、3点までに抑えて4点取って…」と予想していた。得失点とも1点ずつ少なかったがさすがの読みだ。

 

大正、昭和、平成、令和の時代を生きてきた100年を超える広陵野球の歴史の中でも平成2年(1990年)監督就任で春夏合計36勝目となったの指揮官の実績は特筆モノに値する。

百戦錬磨とはこのことだろう。

初戦の二松学舎大付戦では相手バッテリーの内角攻めを弾き返したが、この日は真っすぐの球速が120キロ台後半の左腕投手、吉田翔(3年)の前に芯で捉えることができない打席を重ねた。

 

二回、セカンド松下水音の送球ミス絡みで2点を先制され、よけいに空気が重くなりかけた…、が、外野からそう見えていたとしても広陵ベンチが浮足立つことはなかった。先制されても残り8イニングあれば必ずひっくり返すことができる。中井監督も選手たちもそう思っていたはず。逆に海星の加藤慶二監督は「敗因は3点目が取れなかったことです」と試合後に嘆いた。

 

ただ、それは広陵の2年生バッテリーとバックを固める面々が3点目を絶対に許さない形に持って行った、ということでもある。

 

打順2巡目の後半となった五回から広陵打線はイッキに捉えてみせた。

 

吉田の球数が50球を超えたところで一死から中尾湊がセンターフェン直三塁打。高尾自らの犠飛で1点差とした。ともにボール1からの2球目を仕留めた。

 

六回には先頭の田上夏衣が右中間三塁打。続く谷本颯太は初球で犠牲フライ。ここでもまた4球で同点にした。まさに速攻。相手ベンチに対策を練る暇を与えない。

七回は中尾と九番・松下水音のシングルなどで一死一、二塁として2安打の田上。強いゴロがセカンドの股間を抜け勝ち越し点が入った。このあと海星は二番手にスイッチしたが試合はそのまま進んで九回へ。

 

高尾の球数はすでに137球。先頭打者の深い位置へのショートゴロを主将の小林隼翔が大遠投してファインプレーにすり替えた。ファースト真鍋もミットをいっぱいに伸ばしてアシストした。こういうチームはやはり強い。

 

センバツ、ベスト8には作新学院(6年ぶり11度目)、山梨学院(2年連続6度目)、次に広陵が対戦する専大松戸(2年ぶり2度目)、選抜連覇に挑む大阪桐蔭(4年連続14度目)、東海大菅生(2年ぶり5度目)、報徳学園(6年ぶり22度目)、仙台育英(2年ぶり15度目)が残った。

 

広陵は昨年11月、初優勝を目指した明治神宮大会決勝で大阪桐蔭に5点差を逆転され準優勝、リベンジを果たすなら決勝の舞台へ。負けられない戦いを勝ち切るかどうか、注目!である。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)