画像はエディオンピースウイング広島に隣接する市営アパート群、灯りがまばらなのは、空き部屋が大半を占めるから…広島市の「基町地区活性化計画」に沿って、やがてこのエリアも含めた建て替えやリノベ―ションが本格化する

 

サンフレッチェ広島は6月17日、エディオンピースウイング広島で南一誠さんを特設ステージに招きコンサートを開催した。

 

 

ひろスポ!では以下、2本の記事をアップした。まずはこの2本をもう一度、読んでいただきたい。

 

 

エディオンピースウイング広島、平和の翼の下で地元基町住民と南一誠さんら「翼をください」熱唱!
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紫から赤へ…エディオンピースウイング広島で掟破り?捨て身?の<それ行けカープ>大合唱した結果、どうなったかと言うと
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2本目の記事の中に<エディオンピースウイング広島で6月17日午後7時から“掟破り”のコンサートが開催された。>との表現がある。

 

 

どういうことか?

 

 

今となってはもうどうなるものでもないが、もともと新サッカースタジアム建設場所として現在地が選ばれる可能性は非常に低かった。すでにひろスポ!では何度も指摘してきたが、サンフレッチェ広島や広島市民、県民、サポーターは「旧広島市民球場跡地」を推していた。しかし、湯崎英彦知事と広島市の松井一実市長がある時「広島みなと公園優位」を強烈にプッシュし始めた。もちろん港湾機能を麻痺させるサッカースタジアムが宇品地区に相応しいはずもなく、湯崎英彦知事は当時の菅義偉官房長官からレッドカードをもらいオウンゴールとなった。

 

 

結果、困った広島ツートップは基町高層アパート群や基町小などに隣接する中央公園にスタジアムをねじ込む策に出た。最後まで旧広島市民球場跡地にスタジアムを作ることを良し、とはしなかった。

 

もし、旧広島市民球場跡地にスタジアムが完成していれば、今の素晴らしい昼夜のランドスケープは原爆ドームとセットになり、それこそ世界に誇る空間になっていただろう。


 

降ってわいたような「中央公園スタジアム案」は基町地区住民から猛反発を食らった。またレッドカードに近いイエローカードだ。それが広島の行政、そして首長のやり口だった。

 

 

何度か基町住民と県・市側の話し合いを取材したが、とても数年のうちにスタジアムができるとは思えないほど、話は平行線をたどっていた。だから、広島市は基町地区住民の声に最大限、耳を傾けようとした。それは例え、聞いたフリでもかまわない。時間が経てば、あとでどうにでもなるからだ。

 

 

広島市には“前科”がある。旧広島市民球場を、市民の90%以上の「反対」の声をスルーしてぶち壊し、マツダスタジアムを新設した際、その過程で少年野球、高校野球、社会人野球の関係者を集めて「新球場でも旧広島市民球場同様に使用できる」と約束した。

 

 

…でどうなったか?社会人野球は東広島市などに追いやられ、少年野球開催も限定的となり、高校野球なんて見る影もない。カープ選手の供給源であるにも関わらず、だ。

 

 

結果、サンフレッチェ広島はスタジアム指定管理者となった瞬間から難しい運営を迫られることとなった。広島市が基町地区住民への「騒音対策」として「コンサートは開催しない」と断言し、その話はそのままになっていたからだ。

 

 

だから、今回、サンフレッチェ広島サイドは知恵を絞って、南一誠さんのコンサート開催にこぎつけたのだろう。


中国新聞を含む在広メディアは今回の件に関してかなり詳細に報じている。しかし、こうした過去の経緯に触れたものはない。それでは表面をなでただけになってしまう。担当はどんどん入れ替わる。それは行政側もいっしょ…

 

 

ひろスポ!取材班はコンサート当日、スタジアム周辺も歩いてみた。やはり音は漏れてくる。ただし、苦情が出るほどか?と言えばそうでもなさそうだった。

 

 

ひろスポ!取材班ではコンサート開催前、何度もエディオンピースウイング広島の騒音問題について基町地区住民の話を聞いてきた。

 

「さすがに代表戦はやかましかった」「うちはすぐそばの第2コア(高層アパート)ですが、音は気になりません」「市民球場のカープの方がうるさかったで」「音は気にならないし、スタジアム前に今度、子どもらの遊べる広場もできるんでしょ?安全対策もされているみたいで楽しみです…」などなど…

 

 

アンケートなどを取って住民の声を吸い上げてみれば分かることだが、「コンサート絶対反対!」などという声は上がらないかもしれない。



また一方で、マスメディアの報道の中には「天然芝」と「コンサート開催」にスポットを当てたものが多かったが、これまた過去の例をスルーしたモノの味方と言っていいだろう。

 

 

確かにサンフレッチェ広島 仙田信吾社長らはコンサート後の会見でそう話したが、実は「天然芝」が一番の問題ではない。

 

 

かつてのエディオンスタジアム広島では2017年8月にミスチルのコンサートを開催している。↓

 

エディオンスタジアム広島、ミスターチルドレンコンサート混雑苛烈!改めてサッカースタジアムとしてNG!
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 エディオンスタジアム広島でミスチル、トイレとても不便!駐車料金ボッタクリ!!アクセス貧弱過ぎ!!!J1スタジアム最低ランク”小手先でやりくり”したって
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ちょうど、このタイミングで人気グループコンサートなどの「広島飛ばし」がトレンドになり、女性自身が記事をアップした。大きなコンサートを開催する場所がないから、飛ばされる、という昔からあったアノ話だ。

 

 

旧広島市民球場では様々なコンサートが開催された(ちなみに旧広島市民球場でのコンサートに関する音の苦情は限りなくゼロに近かった)が、これまた今のマツダスタジアムでは指定管理者のカープ球団がやりたがらない。

 

 

スポーツ×音楽は平和発信には必須で、そもそも「コンサートはやりません」なんて言う方(広島市担当者)が間違いだろう。しかも収益率が最も高いのがコンサート。ミスチル1本でJリーグ公式戦開催の何試合分もの収益になるのだから…



天然芝保護やコンサート関連技術もあの頃に比べれば格段に向上していることだろう。また、サンフレッチェ広島側が述べているように、スタジアム機能の一部を使用しながらのコンサートならまたすぐにでもできる。屋根の威力は絶大だ。南一誠コンサートも雨に祟られたがほとんど影響なし、だった。

 

 

しかも南一誠さんの唄声に合わせてピースウイングが赤く染まるなど、照明演出はさすが!だった。でも、そんなの当たり前。最初からコンサートほか、様々なイベントに対応できる音響、照明、そして大型映像が揃っている。そういう風に作ったのだから…

 

「翼をください」の大合唱で基町のみなさんの胸が熱くなったように、平和の翼には過去と今と未来を照ら歌声が一番よく似合う。基町小学校や基町高校の児童・生徒にも歌っていただく機会を作りたい。県内アマバン王座決定戦とか、やれそうなことはいくらでもある。

 

そして紛争や国際問題を抱えながらもピッチでボールを追いかける選手たちを、その国や地域のミュージシャンとともに招待して、広島平和カップ&音楽祭を開催する日がもう、まもなくやって来る、のではないか…

 


最後に、仙田信吾社長のコンサート当日会見はすでにひろスポ!記事内でアップしたが、もう一度、ここに貼り付けておく。ひろスポ!が太字に替えている部分が肝、だ。

 

 

イベント終了を受けての仙田信吾社長のコメント(太字はひろスポ!による)
※注・この記事では太字ではなく  >で囲ってあります。

 

紆余曲折があって、この中央公園広場に新スタジアムを作っていただくことができました。ご承知のように、たいへんな活況で毎試合満員ということができております。

 

しかし、<当初は基町のみなさまにとっては、音も出る施設ではありますし>、いろいろなことで思いがあったと思うんです。それを結果として快く受け止めていただいたことに関して、本来だったら高層アパートのおひとりおひとりに声をかけて、ありがとうございますという風に申し上げ投げなければいけないところを、お家に押し掛けられてもご迷惑だと思いますので、それでこのスタジアムでみなさんに一番喜んでもらえるのは何だろうと…

 

やっぱり歌好きな方がたいへん多い、カラオケ文化も盛んですので、広島で言えば南一誠さんだろうということでご相談して、社会福祉協議会、連合自治会のみなさまにも何回もご相談しながらこのイベントに漕ぎつけたというところです。

 

 

−それ行けカープも…

 

 

南一誠さんは、雨の港から、とか広島天国とか、笑顔がいいね、とか、有名な歌がたくさんあります。でも、それ行けカープは、みんなが歌える、大切な、大切な歌なんで、この<エディオンピースウイング広島でもみんなが歌える歌として、素晴らしい歌詞ですしぜひ選んでいただきたいなと思いました。きょうは夢がかなった気持ちがいたします。

 

 

−みんな笑顔でした!

 

 

帰りに初めてご挨拶するみなさんから、手を振ったり拍手をしていただいて、基町のみなさんとサンフレッチェ広島が近づいたな、と。このスタジアムを受け入れてもらったなと、そういう気持ちが大変したしました。心から感激しています。

 

 

−今後も続けますか?

 

 

サンフレッチェ広島レジーナの試合に、基町のみなさんのお子さん、お孫さんが通ってらっしゃる基町小学校、白島小学校から招待させていただき、たいへんこれも喜んでいただきました。

 

8月後半からサンフレッチェ広島レジーナの4年目のシーズンが始まります。社協、基町連合自治会のみなさんと相談しながら、できればたくさんの人に来ていただきたい。実は男子の試合にも来ていただきたいのですが、ご高齢で足元の心配のある方もおられますし、混雑するトイレの心配とかをなさるので、まずはサンフレッチェ広島レジーナから。しっかりご相談して参ります。

 

−将来的にコンサートは?

 

まずは、天然芝グラウンドで一定の限界があります、ですから天然芝の養生をしっかり保つには普通のコンサートホールと同じような使い方はできません。きょうは一定の手ごたえがございますし、大変喜んでいただいたということを我々も実感したので、<今後はどういうコンサートだったらできるか、ということを社内で、関係者のみなさんのお知恵を借りながら考えていきたい。きょうも<コンサート系のプロの方も少しご視察に見えているようなので>、またアイディアも伺えれば

 

 

−コンサート以外では?

 

すでに周年事業で3000人入っていただ企業様、あるいは1000人単位で研修施設で使ったり、人気が沸騰していると言いますか、問い合わせがたくさんきている状況です。

 

そいいう中で、きょうは基町のみなさんにどうやって喜んでいただければいいかな?との思いでこのコンサートを実現させたのですけれども、コンサートで喜んでいただけるなら、これからそういう工夫もですねしていきたいと思いますし、<基本的にはスタジアムというのはコンサートが一番収益になると言われています。ただ、天然芝を守っていかないといけないという限界の中でそれをどうやって模索していくか?これから知見を重ねて勉強していきたいと思っています。


※以上、このインタビューを見ても分かるように、話が一度、コンサートを外れても、仙田信吾社長が自ら話を戻している。こうしたひとつ、ひとつを見ていけば、語らずとも分かることがたくさんある。

※この項つづく
(文責・広島スポーツ100年取材班&田辺一球)