現在公開中の映画「狼をさがして」を巡り、神奈川県・厚木市の「あつぎのえいがかんkiki」が上映を中止し、横浜市の「横浜シネマリン」に対して街宣車による抗議活動が起こるなど波紋が広がっていることを受け、キム・ミレ監督が「遠い過去から現在に至るまで、二つの国の間の波濤(はとう)を超え、友情と連帯をつないできた弱く貧しくも懸命に生きている方々と、これからも共に在りたいと思います」とコメントを発表した。

 同映画は1974年、東京・丸の内の三菱重工本社ビルで時限爆弾を爆破し、死者8人、負傷者約380人を出す事件を起こした「東アジア反日武装戦線 狼」を追ったドキュメンタリー映画。

 「反日的である」「監督が韓国人である」といった理由で4月24日の公開初日以来、「横浜シネマリン」の前では複数回、抗議活動が行われていた。「あつぎのえいがかん」では、今月8日公開予定だったが、抗議の予告などを受け中止を決定していた。

 以下、コメント全文(原文まま)

 「現在の日本社会で『東アジア反日武装戦線』について問いを発し考えることが、いかに困難なことなのか。そのことは製作を準備するなかで知りました。にも関わらず、私がこの映画をつくったのは、『東アジア反日武装戦線』を貫く歴史を通じて、何よりもまず韓国社会に生きる私たち自身に「加害」について問いかけたかったからです。『狼をさがして』は、『加害』とは何か、『加害者』とは誰なのか、その真実を追った映画なのです。

 今や、世界的にポスト真実の時代だと言われています。まさに『狼をさがして』の上映を批判する一部のひとたちが、映画とは全く関係のない事実無根のひどい言葉を投げつける姿を映像で見ました。本当に哀しいことです。その一方で、『狼』を実際に観た方々のたくさんの作品評も受け取っています。批判的なご意見も含め、日本にいらっしゃる皆様からの冷静で真摯な言葉に接することができ、私としてもこの映画をつくって本当によかったと思っています。

 一部上映中止という残念なこともありましたが、そうした事態がこれ以上広がらないようご尽力くださっている、日本各地の劇場と配給会社のスタッフの皆さんや、観客の皆さんに、深い感謝の念と熱い連帯のこころをお伝えします。そして、遠い過去から現在に至るまで、二つの国の間の波濤を超え、友情と連帯をつないできた弱く貧しくも懸命に生きている方々と、これからも共に在りたいと思います。 キム・ミレ」